20150909 tPA搬送遅れの原因
Pre-hospital delay in the use of intravenous rt-PA for acute ischemic stroke in Japan J Neurol Sci 2008; 270: 127-32
<Abstract>急性期脳梗塞患者の病院への到着が遅れる理由について検討した。発症から2時間以降に来院した(遅延群)患者は全体の68%で遅延因子は他病院入院中・他院への先行搬送→転送で、早期搬送因子は夕方発症・目撃者あり・意識障害・救急車利用であった。
<Introduction>脳梗塞に対するrt-PA治療は早ければ早いほど予後が良いことが知られている。しかし3時間以内に来院しこの治療を行える患者は17-38%程度と少ない。救急車利用や他院を経由しない搬送が病院到着時間を短縮すると言われているが詳細は不明で、本研究は病院搬送前の遅延因子を検討する。
<Methods>熊本済生会病院。2005-2006で脳梗塞・TIA発症後7日以内に入院した患者を対象。発症からの時間を0-2(早期到着群)・0-3・3-6・6-12・12-24・24-48・48-(晩期到着群)に分類。同様に発症2時間以内と以降で早期発見群と晩期発見群に分けた。
<Results>625人中、早期到着群32%、晩期68%。早期到着因子は目撃者あり(45%対28%・OR0.6)、意識障害(53%対24%・OR0.5)、救急車利用(91%対62%・OR0.2)、他院紹介なし(13%対47%・OR9.3)であった。早期発見群は50%・晩期50%で早期の因子は入院中(15%対1%)であった。
<川堀の感想>大方の結果は予想された通りであった。早期に疾患を認識できたにも関わらずStroke病院への搬送が他院を経由することで遅くなることが確認された。ただ症状が軽かったりそれ自体が予後にどの程度影響したかは不明。一般市民・救急隊への啓もうがStroke bypassには不可欠だと思う。