20150911 脳出血急性期のStatinは浮腫に効果なし

Perihematoma cerebral blood flow is unaffected by statin use in acute intracerebral hemorrhage patients. JCBFM 2015; 35: 1175-80

 Abstract>動物実験では脳出血時のスタチンはCBF改善と浮腫軽減が得られるが臨床での効果は不明で検討した。脳出血に対する血圧研究(ICH ADAPT)の事後解析で発症前からスタチン内服有無でCBFと浮腫を検討した。出血量・CBFは違いがないが、浮腫は内服群の方が悪かったと反対の結果であった。

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 Introduction>スタチンには脂質低下以外にも多の作用があり動物実験では脳出血後のCBF改善・浮腫軽減効果が認められる。しかし臨床試験では相反する結果(SPARCL:出血増加など)が存在している。今回ICH ADAPTの事後解析を行い脳出血で事前スタチン内服群と非内服群でCBF・浮腫を検討した。

 Methods>多施設前向きランダム研究のICH ADAPTの事後解析で、脳出血患者73人(スタチンあり14・なし59)で来院2時間後と24時間後にCT(造影も)撮影しCBF・浮腫を測定した。浮腫の測定等は専用のソフトを使用した。

 Results>出血前スタチン内服群(S群)は非内服群に比して高血圧・冠動脈疾患の比率が高かったが、入院時の血圧は同じ。症状からCTは平均8時間で血腫量は同じだったがS群で脳室内出血率が高かった。2時間の浮腫はS群で悪かったが24時間では同じだった。CBFは同じで、血清LDL値と浮腫は負の相関だった。

 <川堀の感想>基礎研究の逆で、スタチン(種類は色々)を飲んでいる群の方が浮腫が2時間後で悪かったのには驚いた。SPARCL研究のコレステロール低下は出血の増悪因子は本当かも。ただ本研究は患者の数が少なく出血後に内服しているわけでもないので完全には比較できない。個人的にはスタチンは有益だと思うが。