出血発症のモヤモヤ病の再出血率(保存治療時)

Natural Course of Moyamoya Disease in Patients With Prior Hemorrhagic Stroke.
Kang S, Liu X, Zhang D, Wang R, Zhang Y, Zhang Q, Yang W, Zhao JZ.
Stroke. 2019 [Epub ahead of print]

Abstract
出血発症のモヤモヤ病患者の自然予後は依然不明であるため、保存加療を行った患者の再出血率・死亡率・リスク因子を検討した。128人を平均10.1年フォローし、59人に再出血が生じ(37%、年4.5%)、9名が死亡、12名が重度後遺症となった出血は10年後までコンスタントに存在し、タバコと高血圧が再出血のリスク因子であった。


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出血直後のみならず、その後10年間に渡って再出血していることが分かる。

Introduction
モヤモヤ病には脳出血と脳梗塞の2タイプで発症するが、頻度は脳梗塞が高いが、死亡率は出血で高い。バイパスで再出血を予防出来るという報告もあるが、もととなる自然歴は依然不明であることから今回、長期成績を調査した。

Methods
1985-2012まで中国北京Tiantan病院(モヤモヤ病センター)でフォローしてきた274人の出血性モヤの内、保存加療を行ってきた128人を対象とした。最初の出血から再出血までの期間、出血部位、治療予後などを評価した。

Results
128人(平均35歳で、95%は成人、男女比1:2、脳室内出血43%、脳内出血29%Suzuki分類3, 470%)を平均10年フォローし、51人(40%)に再出血を認めた(年4.5%)9人が死亡・12人が重度後遺症を残した。再出血は1ヶ月~20年(平均6年)で、10年後まで続いた。多変量解析でタバコと高血圧が有意な再出血因子であった。

<川堀の感想>
日本ではバイパス治療を受けることが多いためMoyaの自然歴は不明なことが多いなか、多くの患者で長期の成績が出たことは望ましいことと思う。長期的には血流低下に対して脳のコンディションが落ち着くと思われたため10年後までコンスタントに再出血しているのは驚いた。私も以前モヤモヤ病出血患者で死亡した症例を経験していて、出血が非常に予後を悪くすると実感している。現在我々は直接間接バイパスの両方を行っていて、これが最良だと考えているが、科学的に証明する必要があると思われた。