血栓回収のコツ(SAVE法)

Stent retriever placement in embolectomy: the choice of the post-bifurcational trunk influences the first-pass reperfusion result in M1 occlusions.
Maus V, Brehm A, Tsogkas I, Henkel S, Psychogios MN.
J Neurointerv Surg. 2019;11(3):237-240.

Abstract
SAVE法を用いたM1閉塞の血栓回収時にどちらのM2にカテーテルを誘導するのが適切かを後方視的に検討した。2015-17M1閉塞76名で検討し、inferior trunkに入れた方がfirst passでの再開通が多かった(TICI2c以上:73%vs48%TICI367%vs37%)。


Figureの説明>
術中のイメージ。ステントのproxymal1/3程度で血栓を捕捉し、残りはM2において、それをガイドに吸引カテを吸引した状態で上げていく。吸引が止まったところが血栓部位であり、そこで親カテのバルーン・吸引下に吸引カテ・ステントを抜去する。

Introduction
SAVE法(Stent Assisted Vacuum-locked Extraction)は末梢でステントを展開し、近位部から吸引カテーテルを吸った状態で上げてきてWedgeしたところで親カテ吸引下に吸引カテとステントを抜いてくる方法であるが、M1閉塞においてマイクロカテを誘導するのをinferior/superiorのどちらに置くのが望ましいのかは不明なため検討した。

Methods
2015-17SAVE法を行ったM1閉塞を対象とした。末梢カテーテルが入った先で造影を行い、superior/posterior trunkのどちらに入ったかを評価しTICI2c以上になった頻度を比較した。合併症(頭蓋内出血・末梢塞栓(Embolic in New Territory: ENT))も評価した。
SAVE法はonline(https://vimeo.com/245744122)で閲覧可能

 Results
76名で検討した。72%TICI2b以上がfirst passで得られた。これは特にsuperior trunkS)よりinferior trunkI)にマイクロカテを置いたときが成功率が高かった(65vs83%)。また血管径を検討するとSIではIが太い方が多かった(74%)が、どちらか太い方にマイクロカテを置いた方が良かった(83vs61%)。ICH3%ENT5%だった。

<川堀の感想>
ステントを展開し、それを支えとして吸引しながらPenumbraカテを上げるSAVE法は確実に血栓を捕捉できると思われ、大変良い方法だと思って実践している。今回M2の太い方(多くはInferior trunk)に入れるとなお良いというデータであった。太い方にステントを入れた方が良い理由は、ステントの拡張力(radial force)がある程度開いた状態の方がよいからとのことであったが、血管の蛇行も考えられるのではないかと思った。どちらにせよ大変良い方法だと思う。