20150917 血栓回収予後は術前のSPECTで決まる

Outcome in acute stroke with successful intra-arterial thrombolysis and predictive value of initial single-photon emission-computed tomography JCBFM 1999; 19: 99-108

 Abstract>血栓溶解術後の予後と術前のSPECTの関係を後方視的に検討した。発症12時間以内に完全再開通した30人で、梗塞が、なし~小(9人)中~大(14人)、出血(7人)であった。これらの群では予後とCBF値に違いを見たが、虚血時間・ウロキの量・梗塞タイプ部位では違いがなかった

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 Introduction>脳梗塞に対するウロキナーゼ血栓溶解療法の有効性が示唆されているが、予後に関しては、患者背景、手技、出血性梗塞等の合併症など多くのファクターが存在し詳細は不明である。SPECTによる脳血流評価が血栓溶解療法後による完全再開通の予後にどのように影響するかを検討した。

 

Methods>愛媛大学。1989-1996。症例は発症6時間以内でCT低吸収域なし、血管造影で責任血管の閉塞ありに、血栓溶解療法を行い術前SPECTを行った30例。血流評価はHMPAOで小脳比と対側比で検討した。ウロキは24~96万単位を血栓内投与し、術後CTは1週, 2, 1か月で施行。

 Results>フォローCT3群(①梗塞なし(9)<②中~大梗塞(14)<③出血性梗塞(7))に分けたところ、虚血時間・ウロキ量・閉塞部位等は違いなかったが、1か月後の予後は3群で違った(良い①→②→③悪い)。治療前CBF比で3群を識別可能であった(①0.6>②0.4>③0.2)。5時間以内はCBF比と虚血時間が因子だった

 <川堀の感想>少し古い論文でウロキ動注のみを対象としているが、完全再開通のみの症例では虚血時間とCBFが予後規定因子であることを報告した貴重な報告と思われる。現在再開通率は90%以上であることを考えると、時間軸と同様に虚血程度の評価も必要と考えた。