DAMPsと組織炎症の総説

DAMPs and DAMP-sensing receptors in inflammation and diseases
Ming Ma, Wei Jiang, Rongbin Zhou.
Immunity. 2024 Apr 9;57(4):752-771

組織損傷に働くDamage associated molecular pattern (DAMPs)の総説。非常に良くまとまっていて最新の知識の獲得に有効。
DAMPsの元を5つに分類(核酸・タンパク・イオン・糖鎖・代謝産物)し、それらが3つの機序で生体内でDAMPsとして認識される:①Displacement(本来存在しないはずのところで検出される)・②Change of properties(ガラス化などの変性)・③Change of concentration(濃度変化)事を報告している。
脳に関する各論として
(1)全身炎症を担う好中球で言うと、核内タンパク質のHMGB1は細胞死の際に放出されるが、これが好中球上のTLR2 or 4/Mac-1/RAGEと結合してNFkbが生成され炎症が惹起される事、(2)大腸菌の出すSCFAshort chain fatty acid)も血液に入るとGPR43を介してMAPKNLRP3などの炎症系サイトカインの増加に関与する事、(3)NETsNLRP3に結像して炎症を増加させる事、など今まで我々が行ってきた神経の細胞治療研究が炎症制御に非常に多く関与している事が分かる

図1DAMPsを細胞が感知するレセプター一覧

図2自然免疫(≒好中球)に発現している事が分かった重要な炎症亢進因子のNLRP3レセプター一覧