20180109 脊髄損傷へのcell sheet

Bone marrow stromal cell sheets may promote axonal regeneration and functional recovery with suppression of glial scar formation after spinal cord transection injury in rats.
J Neurosurg Spine. 2017 Mar;26(3):388-395

 Abstract
脊髄損傷に対する骨髄幹細胞(BMSC)投与にScafoldなしで投与するため細胞シートを作成し使用した。ラットのT8レベルに脊髄切開(2mm)し損傷直後にシートを損傷部位においた。経時的に運動機能改善/神経軸索の伸張/グリア瘢痕の減少を認めた。

Figureの説明>
プレート上で作成された骨髄幹細胞。

Introduction
脊髄損傷に対するBMSCの効果(軸索伸張・グリア瘢痕縮小)が多くの研究で認められている。細胞を移植する際に同部位に細胞の接着を行うためにScafoldが必要となるが、それは時に炎症の素地となりうる。今回scafoldを使用しない細胞シートを作成し脊髄損傷ラットでその効果を検討した。

Methods
BMSCシートはアスコルビン酸入りメディウムで6cmディッシュで育て、シート状で凍結保存した。脊髄損傷ラットはT8レベルに2mm脊髄を切断し摘出し、シートもしくはゼラチンを挿入し、運動機能、病理検討を行った。

Results
アスコルビン酸入りのBMSCシートはディッシュより容易に剥離可能でせっしでつまむことが出来た。これを脊髄損傷に当てたところ8週目の段階で、新しい軸索進展が生じていること(Tuj1GAP43)、グリア瘢痕(GFAP)が少なくなっていることがわかった。運動機能も有意に改善していた。

<川堀の感想>
脊髄損傷に細胞投与する場合には直接投与は危険が高いため細胞シートを使用するとその問題が改善される可能性がある大変意義有る報告である。しかし実際の臨床に合わせるためにはもう少し実験方法を変える(外傷直後ではなく少し時間が経ってから、離断では無く損傷モデルを使用するなど)必要があると思われる。