20151023 血栓回収ステント別の内皮障害
Endothelial trauma from mechanical thrombectomy in acute stroke Stroke 2015; 46: 1099-1106
<Abstract>In vitro(3次元チューブでの血管内皮細胞培養), In vivo(ブタ)で血管内治療デバイスによる内皮障害を検討した。血管内皮障害はデバイスによって違いがみられ、内皮障害の強さからMerci→Trevo→Solitire→Penumbra(ADAPT)の順であった。
<Figureの説明>はがされた内皮細胞が黒く映るチューブモデル。Merciの2.5mmだとほぼ内皮は残っていない(5%前後)。Penumbra ADAPTは最もよく60%程度残っていた。血管腔の大きさも重要で細ければ細いほどダメージは大きくなった。
<Introduction>脳主幹動脈閉塞に対する血管内治療の有効性が示された。血管内皮細胞はBBBの透過性や活性酸素生成など多くの機能を有しており、虚血により障害を受け、適切な時期の再灌流にて機能改善が得られることが分かっているが、デバイスによる機械的損傷およびその影響については研究されていない。
<Methods>In vitro:内腔が2.5&3.5&4.5mmのシリコンチューブをメディウム持続還流につなぎ血管内皮細胞を接着させ、血栓を挿入し血流を停止した。 In vivo:ブタに血栓を内頚動脈より流した。両方でMerci、Penumbra、Solitire、Trevoを使用し血栓除去を行い内皮障害を検討した。
<Results>In vitro、In vivoのどちらでも内皮細胞障害は強い→弱い:Merci → Trevo → Solitire → Penumbra(ADAPT)の順だった。また血管内腔が小さくなるにつれて内皮細胞障害は強くなった。
<川堀の感想>Merciの内皮はがれっぷりは凄まじく、Trevoもone size fits allだからか細い血管径ではかなり障害させていたのは驚き。ADAPTは内皮にやさしい治療法と考えられた。ただ主観動脈であり、その後再閉塞することは稀であることを考えると内皮障害の程度がその後の予後に影響するかは不明である。