20151023 ESCAPE 脳梗塞の血管内治療

Randomized assessment of rapid endovascular treatment of ischemic stroke NEJM 2015 372(11): 1019-30

 Abstract>発症12時間までの大きな脳梗塞のない前方循環の動脈閉塞患者に対して血管内治療による血栓回収の有効性を検討した。CT/CTAで閉塞・血流を評価。CTから治療までは平均84分、血管内VS通常治療の予後良好群は53%vs29%で、死亡率も10%vs19%と有意に血管内治療が有効だった。

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Figureの説明>rtPAの有無にかかわらず、血管内治療(mRS2以上の自立群50%-60%)を行うことで、内科治療を行っただけの治療(同30%)よりもかなり予後を出来ることが示された。

 IntroductionESCAPE研究。前方循環の近位部閉塞による脳梗塞では60-80%の患者が死亡/介護状態となる。PROACTⅡは初めての脳梗塞に対する血管内治療研究だが有効性は示せず、近位部閉塞確認・大きな梗塞の除外が不十分であったのが原因と考えた。CT/CTA評価&血栓回収の有効性を検討した。

 Methods>国際多施設前向き2重盲検試験。発症12時間以内、発症前ADLが自立、CT/CTAで小さな脳梗塞(ASPECT6-10)&前方循環近位部閉塞&MCA領域50%以上に側副血流が来ているの患者が対象。治療は4.5h以内はtPAも使用した。90日後のmRSで通常治療と血管内治療を比較した。

 Results165人が血管内(ステント使用92%、平均O2D4時間、再開通率72%)、150人が内科治療(再開通率31%)。90日後の自立率53%vs29%、死亡率10%vs19%で血管内治療が有意に有効であった。しかし発症6時間以上の治療では両群での差は認められなかった。

 <川堀の感想>CTベースで血管内治療を行った報告。CTからReperfusionまでが84分、Punctureから再開通までが30分と比較的短い時間で行われていることは注目すべきことと考える。当院ではMRIで行っているが、MRI入室から再開通までを60分でやりたいと考えている。