頭蓋内動脈狭窄に薬剤漏出性ステント(DES)は有効

Comparison of Drug-Eluting Stent With Bare-Metal Stent in Patients With Symptomatic High-grade Intracranial Atherosclerotic Stenosis A Randomized Clinical Trial
JAMA Neurol. 2022 Jan 4;e214804.
Baixue Jia et al. NOVA Trial Investigators

Abstract
頭蓋内ステントで再狭窄を予防するため薬剤漏出性ステント(DES)の有効性を評価した。中国で前向き・多施設・無作為化試験をおこなった。DES132人、通常ステント(BMS131人。1年後再狭窄はDES10%BMS30%、脳梗塞再発はDES1%BMS7%だが、30日以内の脳梗塞・死亡は変わらなかった

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DESBMSの成績。再狭窄は10%vs30%と少ないし、脳梗塞も0%6.6%DESの方が良い。

Introduction
頭蓋内動脈狭窄に対しての現在の標準治療は内服療法であるが、それでも再発率は高く(SAMMPRIS37%)、慎重に適応を選べばステント治療も良いと思われる。ただステント後の再狭窄(In-stent stenosis)は大きな問題で15-33%に生じる。薬剤溶出性ステント(DES)は心臓で再狭窄を抑制するが脳血管では不明のため調べた。

Methods
中国にて16施設が参加。患者はTIA/軽度脳梗塞の90日以内・頭蓋内動脈狭窄70-99%1:1DES(抗がん剤タクロリムスが表面にコーティング)もしくは通常ステント(BMS)に割り付けられた。治療後1年までの成績を評価

Results
患者背景は同じでDES132人、BMS131人。両軍で2%程度でステントを置けない症例あり、治療後狭窄改善率は同じだった。30日以内の脳梗塞・死亡は6%前後で同じだが、頭蓋内出血はDESで約2倍(5%vs2.5%)だった(有意差無し)。1年後の再狭窄は10%vs30%DESの方が良かった。

<川堀の感想>
少しステントが硬かったため周術期の出血合併症が多かったが、その後の再狭窄および脳梗塞は防げている事が評価された。ただ抗がん剤が溶け出すリスクもあるので長期のフォローが必要