脳梗塞モデルでMSC動注は静注より効果があった

Epidermal neural crest stem cell transplantation as a promising therapeutic strategy for ischemic stroke.
Salehi MS, et al.
CNS Neurosci Ther. 2020 Jul;26(7):670-681.

<Abstract>
毛根由来神経幹細胞(NCSC)と骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)を脳梗塞ラットに頸動脈・静脈から投与し1週間経過を見た。運動機能回復と梗塞体積はNSC動脈・静脈と骨髄動脈で良くなったが骨髄静脈はダメだった。NCSC投与の脳ではBDNF上昇、MSC投与脳はGDNF上昇など違う機序が想定された

 <Figures>

脳梗塞のサイズはMSC動注が一番よく、NCSC動注&静注が続き、MSC静注は効果を認めなかった。

<Introduction>
脳梗塞に対する幹細胞治療として骨髄由来MSCが多く研究されているが、骨髄採取と言う侵襲的な操作が必要になる。一方毛根由来神経堤幹細胞(NCSC)は低侵襲で確保でき、神経系への分化も確認されている事から有望と考える。今回動脈投与と静脈投与をこれらの細胞で行い、その効果を確認した

 <Method>
SDラット250g前後に45Threadモデルで脳梗塞を作成。NCSCはラット毛根細胞を培養して採取し、SOX10などで確認。200万個/0.5mLを脳梗塞直後に頸動脈もしくは尾静脈から投与。7日後の脳を取り出し栄養因子系、細胞マーカー系、炎症系のmRNAの発現をPCRで比較した。

 <Result>
運動機能と梗塞体積はNCSC動注=NCSC静注=MSC動注>MSC静注となった。栄養系はBDNFNCSC動注で、GDNFMSC動注で高値であった。細胞系はSOX10/DCX/TublinNCSC動注静注で高値であった。炎症系は動注組で低下する傾向があった。

 <川堀の感想>
何故効いたのか、もしくは効かなかったのかのデータが無く、投与した結果のみを提示しており、研究のクオリティーは低い。PCRも脳梗塞のサイズによって結果が変わるだろうから、それを標準化しなければ意味がないと思う。ただMSCは動注が静注に比較し、Betterであった事は今後の臨床応用に向けて勉強になった