小児のAVMの放射線治療の成績
Stereotactic radiosurgery for pediatric brain arteriovenous malformations: long-term outcomes
Ching-Jen Chen, on behalf of the International Radiosurgery Research Foundation
J Neurosurg Pediatr. 2020 [Epub ahead of print]
<Abstract>
脳動静脈奇形AVMの小児患者への放射線治療の長期成績(閉塞・出血・シスト&腫瘍形成)を報告した。1987-2018の539例を対象とし、閉塞(65%)・出血(8%)・シスト形成(2%)・腫瘍形成(0.4%)であった。手術が難しい患者などには放射線治療が行われるが、長期成績(特にシストや腫瘍形成)が明らかになった。
<Figureの説明>
A:長期のAVM閉塞予測図(15年目くらいでほぼ90%くらい閉塞する)、B:脳出血を発症するリスク(長期的には20%くらいあるが、15年目以降はほとんど無くなる)、Cシスト形成:10年以降はほとんど無くなる、D脳腫瘍:頻度は非常に低い
<Introduction>
小児(18歳以下)の脳出血の原因の50%はAVMであり、治療が困難な場所の場合には放射線治療が行われている。しかし小児の長期成績については不明な点が多いため今回、国際放射線治療研究財団(IRRF)の8人のメンバーの施設での成績を集計した。
<Methods>
1987-2014(フォローは2018まで)にガンマナイフで治療した患者を後方視的に検討し、AVM閉塞(治癒)・脳出血(MRI/CTで確認)・シスト/脳腫瘍形成の有無を確認した。
<Results>
539人のAVM(平均13歳、出血既往72%、前治療:放射線13%/摘出6%/塞栓術17%、最大径2.6cm、Eloquent area76%)。65%でAVM閉塞が見つかり、出血は8%であった。症候性の画像変は6%(症候性シスト形成1%、腫瘍0.4%)であった。
<川堀の感想>
小児の脳AVMへの放射線治療の長期成績が明らかとなった。長期の出血率20%が高いと判断するかは意見の分かれるところ。実感以上にシストは少ないのが印象的。小児の場合は手術で障害が出てもかなり回復しうるので頑張って取り切る事も選択肢かもしれない。ただ障害が出やすい場所の治療は躊躇してしまうのも事実。より良い治療法(閉塞率100%で出血率0%)が出ることを期待する。