外傷後慢性期に神経細胞の回復をIMZ-SPECTで見れた?
Recovered neuronal viability revealed by Iodine-123-iomazenil SPECT following traumatic brain injury
Hiroyasu Koizumi, Hirosuke Fujisawa, Tetsu Kurokawa, Eiichi Suehiro, Hideyuki Iwanaga, Jyoji Nakagawara, Michiyasu Suzuki
J Cereb Blood Flow Metab. 2010 Oct;30(10):1673-81.
<Abstract>
頭部外傷後の12名でIMZ-SPECTの変化を受傷1週間以内(急性期)と1-3か月後(慢性期)で評価した。急性期では頭部損傷がCT/MRIで見られる部分で知恵化していたが、75%の患者で慢性期にはIMZ値が改善していた。通常IMZは不可逆的な神経細胞の減少を見ていると考えられてきたが、外傷では違うのかもしれない。
<Figureの説明>
受傷時(左)と減圧術後(中)と慢性期(右)
上段の矢印のところが明らかにIMZ値が低下しているが、下段でそれが改善している!
<Introduction>
脳梗塞やてんかんなどでMRIで異常を認めない神経細胞の脱落を関知する方法が求められていて、ADC・MRspectroscopy・EDC-SPECTなどが使われるが不完全である。IMZはベンゾジアゼピンレセプターの結合物質で灰白質の神経細胞の密度を表していると考えられていて有用な可能性があるので外傷で検討した。
<Methods>
外傷性脳損傷の患者12名を対象とした。IMZは受傷1週間以内と1-3か月に行った。SPECTデータは3D-SSP変換を行い半球単位で低下を比較した。
<Results>
MRIで外傷が明らかな部分に関してはIMZ-SPECTも低下していた。しかし3か月後には同部位の低下率は減少していた(0.22→0.15)。
<川堀の感想>
今までIMZは不可逆な神経細胞の脱落を見ていたと考えていたが、必ずしもそうではないかもしれないという今までの常識と考えられていたことが違うかもしれないという発表。確かにベンゾジアゼピンレセプターが神経細胞の表面からdown regulationする可能性は有りうることで、急性期のショック状態(アシドーシス)等が改善されたことで、レセプターが再び出てきてもおかしくないかもしれない。