動脈瘤のステント後再発にフローダイバーター(韓国)

Efficacy and Safety of Flow-Diverter Therapy for Recurrent Aneurysms after Stent-Assisted Coiling.
Park KY, Yeon JY, Kim BM, et al. Yonsei University
AJNR Am J Neuroradiol. 2020 Mar 12. [Epub ahead of print]

Abstract
ステント留置後の再発に対してフローダイバーター(FD)留置は合併症を増やすと言われるため自験例で検討した。2015-201917例(発症:8SAH例、7無症候、2眼球運動障害)(分類:12巨大、2解離、1外傷性、1Blister)で初回後2-15ヶ月(中央6ヶ月)に留置。全例合併症無く、16例治癒、1例再増大であった。

Figureの説明>
F:ステントコイル後再発。GPED留置後、H:3D撮影(Pcom, Anchoがちゃんと残っている)
B:ステントコイル後再発、EPEDで完全に閉塞、GHAnサイズも小さくなった

Introduction
動脈瘤に対するステント併用コイルでも最大15%程度の再発がある。近年フローダイバーター(パイプラインPED)が動脈瘤治療に用いられる事が多くなってきたが再発に用いた場合にはあまり成功率は良くないと言われる(55-75%の閉塞率と15%前後の合併症率)。そこで自験例の成績を評価した

Methods
韓国の5つの病院で2015-19Anにステントを用いて治療、その後再発しPEDを留置した症例を対象。6,7Frシャトルシースor6Fガイディングカテに5Fの中間カテ(Sofia, Navien, Revive)でマークスマンからPED留置。必要に応じてバルーン。その後の経過をフォロー(Raymond分類:1完全閉塞、2ネックレムナント、3Sacレムナント)。

Results>1
7人(12大型/巨大An2解離、1紡錘状、1外傷、1Blister)が対象。以前のステントは11人エンタープライズ、6Lvis blue/Jr。再治療は2-15ヶ月後(中央6ヶ月)。使用PED114人、22人、31人。術中合併症無し。22ヶ月後フォローで16例で完全閉塞、1例で再増大(再々PED)。

<川堀の感想>
この報告では工夫することで過去の成績の悪さと比べ、満足できる成績になっている。Discussionにあるが、それらは①PEDがステントストラットを通過しないように5F中間カテもdistalまで一旦上げる事(もしガイドワイヤーがストラットを通過していたら上がらないin-out-in現象)、②ステントのストラットが立ってPEDがしっかり展開されないのをバルーンで圧着し予防すること、③ステントを展開してから縮ませる(Drag&Drop)ので無く、最初から予定されている長さで展開すること(ステントストラットにPEDが引っかかって縮めなくなるのを防ぐこと)。今後ステントは更に進化すると思われ、難治性動脈瘤の治療方法は血管内で更に進歩するだろう。