20180117 DOAC/ワーファリン内服中の出血性梗塞
Hemorrhagic transformation after large cerebral infarction in rats pretreated with dabigatran or warfarin
Stroke 2017; 48: 2865-2871
<Abstract>
大きい脳梗塞の後の出血性梗塞に関してワーファリン内服とDOAC内服では違いがあるかをラット一過性脳虚血モデルを用いた基礎研究で評価した。出血率はコントロール群14%、ダビガトラン群0%、ワーファリン群100%で、死亡率もダビガトラン群47%、ワーファリン群79%で共に有意差を認めた。
<Figureの説明>
出血性梗塞による死亡率はワーファリンがダビガトランとプラセボに比較し非常に悪い
<Introduction>
脳梗塞予防にDOACはワーファリンと同程度の効果で脳出血等の副作用が少ないことが示されている。しかし脳梗塞になった後で血管が破綻し脳内出血を起こす(出血性梗塞)においてもDOAC内服群がワーファリン内服群より出血が少ないかどうかは不明のため調べることにした。
<Methods>
ラットを用いて、7日前からダビガトラン(D)・ワーファリン(W)・プラセボ(P)の投薬を行い、2時間虚血Threadモデルで脳梗塞を作り、2&21時間後にMRIで出血を評価した。術者・薬投与者・神経所見評価者は全てblindとした。薬の効き目にはPTと出血時間で評価した。
<Results>
脳梗塞のサイズは3群で変わらなかったが、①死亡率(プラセボ:ダビガトラン:ワーファリン)は7%:47%:79%、②出血性梗塞率は14%:31%:65%、③創部出血も7%:10%:59%:、④神経所見と①–④全ての項目で有意にワーファリンがダビガトランより悪かった。
<川堀の感想>
結果は十分に予想されるもので、もはやワーファリンのメリットは値段だけだと思われる。臨床研究に近い形でITT(intention-to-treat:組み入れた全ての症例の解析)やPP(per-protocol population:計画に適合した対象集団についての解析)を行うのは初めて知って驚いた。