羊水由来間葉系幹細胞の虚血に対する作用機序(miRNA)

Neuroprotective effects of human amniotic fluid stem cells-derived secretome in an ischemia/reperfusion model. 
Castelli V, Antonucci I, d’Angelo M, Tessitore A, Zelli V, Benedetti E, Ferri C, Desideri G, Borlongan C, Stuppia L, Cimini A.
Stem Cells Transl Med. 2021 Feb;10(2):251-266.

<Abstract>
脳梗塞に対する羊水由来間葉系幹細胞の作用機序解明のため含有miRNAを調べたところ、16個のmiRNAが発現上昇しており、それらはNeurotrophin signalingなど神経保護作用に関係していた

 <Figures>
羊水由来間葉系幹細胞の培養液から抽出したエクソソームをOGD後の神経細胞に投与すると神経突起が回復した。

<Introduction>
脳梗塞への幹細胞の効果は分化よりも栄養因子の影響が大きいと最近では考えられている。羊水由来間葉系幹細胞は有望な細胞ソースであるが、どのような栄養因子(タンパク・miRNA)を分泌しているのかは分かっていないので脳梗塞In-vitroモデルで検証した

 <Method>
羊水2mLから幹細胞を採取培養し培養液CM採取。Neuroblastoma株のSH-SY5Yから神経細胞を分化させ、OGD後にCMを入れて生存率・神経突起成長を評価した。CMをのタンパク・エクソソームの内容物を測定し、パスウェー解析を行った

 <Result>
羊水由来幹細胞は表面抗原等でMSCの基準を満たし、OGD後の神経細胞にCMを投与すると神経突起の長さ、BDNF分泌量改善など神経細胞への保護効果が認められた。またこの効果はCM中のエクソソームを除去すると消失した。CM由来エクソソームは16個の発現上昇したmiRNAが存在し、神経栄養系(Neurotrophin)シグナルなどに関与していた

 <川堀の感想>
Methodは一部参考になったが、Borlonganグループの論文としては全体的に実験のQualityが低かった。自らの実験の質を高めるため、他山の石としたい。