幹細胞培養で単核細胞の最適な播種数
Equine bone marrow-derived mesenchymal stem cells: optimization of cell density in primary culture. Zahedi M, Parham A, Dehghani H, Kazemi Mehrjerdi H. Stem Cell Investig. 2018;5:31. eCollection 2018.
<Abstract>
骨髄単核球(MNC)の初期播種数による骨髄幹細胞(MSC)の育つ速度の違いについて検討した。1×105~1×106個/cm2の密度で細胞を播いて、7日目と14日目に細胞コロニー数と21日目に細胞数を比較したところ、もっとも幹細胞が多く取得されたのは4×105個/cm2で播いたときであった。
<Figureの説明>
細胞培養の数(一番左)と最終数(一番右)が重要。最初にたくさん播いたら回収も多くなるので、播いた数に比した幹細胞数で考えると上から0.8個、0.8個、4個、0.4個、1.1個。4×105個/cm2が一番多かった。差は5倍ほどあった
<Introduction>
骨髄液から骨髄幹細胞を取り出し育てるには、骨髄液をそのまま培養液に混ぜる方法(赤血球・幹細胞・単核球・リンパ球などが入る)よりも比重で赤血球を除いた骨髄単核細胞のみで培養する方が良い。ただ培養する細胞密度で細胞接着に関係するタンパク質(β1インテグリン)の発現が変わりうるため、最適な単核細胞播種数は不明なので調べた
<Methods>
9歳の馬から(10mlのヘパリン中に)10mlの骨髄を取得。比重で赤血球を分離し、1, 2, 4, 8, 10×105個/cm2ずつT75のフラスコに播いた(P0)。7&14日目にコロニーの数を数え、21日目に細胞数をカウントした。その後P3まで継代(5000/cm2)しPCR、分化能をチェックした。
<Results>
最初のコロニーは4日目に発見され、7日目はコロニー数に違いが無かったが14日目では10×105個/cm2が一番多かった。しかし21日目の全細胞数では4×105個/cm2が一番育っていた。細胞はCD29, 44, 90陽性で34(血液幹細胞)陰性となり骨・脂肪・軟骨に分化した。
<川堀の感想>
播く細胞数によって育つ数が変わってきて、少ないのもダメだし多すぎるのもダメということを示した論文。ただなぜこの数が良いのかについての更なる検討がなされておらず不完全な論文。我々の治験では約3-6×105個/cm2なので概ねこの数に入るが、これが本当に最適な数かどうかが分かるともっと良いだろう。