SAH後スパズムに血栓回収ステントで血管形成
Novel Treatment of Cerebral Vasospasm Using Solitaire Stent Retriever-assisted Angioplasty: A Case Series.
Su YS, Ali MS, Pukenas BA, Favilla C, Zanaty M, Hasan DM, Kung DK.
World Neurosurg. 2019 Dec 24. pii: S1878-8750(19)33129-8
<Abstract>
くも膜下出血後の血管れん縮に対して血管拡張薬動注(一時的効果)や風船拡張(血管損傷・遠位部到達不可能)が行われてきたが、血栓回収用のステント(拡張圧低め・遠位到達可能)を特に遠位部に使用した。14血管で全て使用可能で、2-5分の展開(&ステントはシースに回収)で良好な拡張を得て、合併症は無かった。
<Figureの説明>
B:右M1とA1に狭窄有り、C:右M1/2分岐部~M1 proxymalまでステント展開、D:右A3~A1 proxymalまでステント展開、E:狭窄は改善している
B:右PCAが描出されていない(不完全すぎるコイルも気になるところではある)。C:血管形成後には確認できる。
<Introduction>
SAH後の血管れん縮に対して①内科治療(ダメなら)→②血管拡張薬動注(ダメなら)→③バルーンプラスティが行われるが、バルーンは血管を裂くリスクがある。血栓回収で用いられるステントは自己拡張可能だが、バルーンより圧が低い・遠位に留置可能・狭窄部位ではより強い力がかかるなど利点がある。
<Methods>
通常の内科治療・拡張薬IAを行っても改善しなかった6症例(SAH5(Acom4, BAtop1)、AVM1)に対してソリティアを使用。ヘパリン後に6Fシース&5Fガイド&マークスマン&16ワイヤーで狭窄を通過しソリティアを展開、2-5分後にリシースし回収。狭窄率改善度を測った。
<Results>
14回のステント展開を行い、全てで良好な拡張(100%up)が得られたし、新たな合併症は無かった。BA topに関してはコイル後8日目にスパズムが生じたのでソリティアを展開し回収した。その後AnにはWebを挿入した。
<川堀の感想>
この発送は非常に素晴らしいと思った。確かにバルーンは硬くて遠位に運ぶのは時に難しいことがあるが、血栓回収用ステントであれば非常に容易に運ぶことが出来る。その他にも血管径の狭いところでは大きい力がかかること、バルーンの様に血流を止めないことなど、あらゆる意味でとても良いと思う。ただBA topの様にすぐ近くにコイルがある場合にはコイルがステントに絡んで回収不可能→コイル脱落になることもありそうなので、その場合は注意が必要だろう。