20151229 血栓除去後の予後不良予測因子はASPECTで右M6と左のM4

Relationship between lesion topology and clinical outcome in anterior circulation large vessel occlusions Stroke 2015; 46: 1787-1792

 Abstract>血管内血栓除去術を行ったIC/M1/M2閉塞患者で、予後不良群(mRS3-6)DWI ASPECTの部位との関連を調べた。213人(平均66歳・NIHSS15)で予後とASPECTの数値は相関し、右M6(OR5.8)と左M44.3)が有意な予後悪化予測部位であった。

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Figureの説明>DWI-ASPECTの部位別でどれほど予後不良群と相関があったかを比較した。M4M6が予後不良に関係している。

 IntroductionIC/M1/M2閉塞による脳梗塞の予後不良予測因子は最終梗塞サイズであるが部位での検討が必要だ。梗塞部位評価にCT/MRI ASPECTは広く用いられて、NINDSではCTM6部位が予後不良と相関したが、MRIでの報告はないので治療後12-72時間後のDWI-MRIで検討した。

 Methods>ピッツバーグ大学。症例は2007-14IC/M1/M2閉塞で血管内血栓除去を行った532例中術後12-72時間でMRIB-1000)を撮像しASPECTと梗塞体積、3か月後mRSで評価が可能であったもの213例。ASPECTの部位と予後をPearson解析等で分析した。

 Results>平均66.1歳、NIHSS15点、O2P603分、TICI IIB以上66%で、53%が予後不良(mRS3-6)であった。治療後のDWI ASPECTは平均5で、これは3か月後予後と相関した。多変量解析では左M4(OR5.5)と右M6(7.5)のみが梗塞範囲よりも鋭敏に予後と相関した。

 <川堀の感想>右のM6が左M4より悪かったというのは大変興味深い結果であった。半側空間無視は急性期では軽視されがちであるが予後規定因子としては非常に重要であることが分かった。これらに血流を送っている血管に対してはより積極的な再開通を検討したい。