MSC由来エクソソームを動注すると脳梗塞のダメージが軽減

Secondary Release of Exosomes From Astrocytes Contributes to the Increase in Neural Plasticity and Improvement of Functional Recovery After Stroke in Rats Treated With Exosomes Harvested From MicroRNA 133b-Overexpressing Multipotent Mesenchymal Stromal Cells
Hongqi Xin, Fengjie Wang, Yanfeng Li, Qing-E Lu, Wing Lee Cheung, Yi Zhang, Zheng Gang Zhang, Michael Chopp
Cell Transplant. 2017 Feb 16;26(2):243-257.

<Abstract>
miR133bを強発現させたMSCの分泌するエクソソームが脳梗塞に効果があるかを検証した。2時間虚血モデルにエクソを動注すると、強発現群普通エクソ群→PBS群の順に運動機能・神経細胞リモデリングが改善した。in-vitroでもOGD後の神経細胞にエクソを投与すると神経軸索伸長が亢進した。

 <Figures>

Foot faultとmNSSでmiR133b遺伝子導入群でより改善。

<Introduction>
間葉系幹細胞(MSC)は神経保護効果が報告されているが、効果の一部はCa/Kチャネル・グルタミン酸刺激などで分泌されたエクソソーム(とその内部のmiRNA)と考えられている。miR133bを共発現したMSCが脳梗塞に効果があったが、そのエクソソームにも効果があるかは分かっていないので検証した。

 <Method>
ラットMSCmiR133b・インヒビターを遺伝子導入し、培養液を超遠心でエクソソーム取得、miRNeasy mini kitmiR133の発現量を測定した。ラット2時間Thread脳梗塞モデルに3×10^11個(100ug)のエクソソームを動注。運動機能と虚血ボーダーの脳内総エクソ量・免染を実施。in-vitroでは18日齢のアストロサイトにエクソをかけて神経軸索伸長を確認した

 <Result>
遺伝子導入で細胞で400倍、エクソで8倍の発現亢進を認めた。運動機能はmiR133b導入群が最も改善し、シナプスの密度・脳内エクソ量も高かった。In-vitroアストロサイトにエクソを投与するとmiR133bで最もエクソ分泌が亢進し、神経軸索が伸びた。エクソソーム形成の途中別経路であるLysosomal pathwayがエクソ投与で減少していた

 <川堀の感想>
脳梗塞とMSC研究で有名なChoppグループの論文。エクソ(特にmiR133b強化型)を1回動注すると機能改善が促進されるというもの。梗塞巣の体積が出ていない点(多分変わらなかった?)、miR133が実際何を改善しているのかなど作用機序が明確になっていない点が弱い論文だと感じた。我々は複数回の方が良いと感じているのでそこを検討しても良いかもしれない