頸動脈投与ではMSCは6時間ほどで脳から無くなる(動物SPECT)

Differential Clearance of Rat and Human Bone Marrow-Derived Mesenchymal Stem Cells From the Brain After Intra-arterial Infusion in Rats
Cell Transplant. 2015;24(5):819-28.
Joonas Khabbal, Erja Kerkelä, Bhimashankar Mitkari, Mari Raki, Johanna Nystedt, Ville Mikkonen, Kim Bergström, Saara Laitinen, Matti Korhonen, Jukka Jolkkonen

<Abstract>
間葉系幹細胞MSCの頸動脈投与IAは脳梗塞治療に有用と考えられているので、今回ヒトおよびラットのMSC99mTcで核標識し、体内の分布を調べた。24時間後に200万個投与し、20分、36時間で撮影したところ、直後は梗塞脳内に核種が観測されたが、特にヒトで早期に無くなり、脾臓・腎臓・肝臓で観測された。

 <Figures>
投与後のアイソトープの挙動。特にヒトでは6時間にはほとんど確認できない。
脳内の時間的分布。ラットよりヒトの方が早く排除される

<Introduction>
脳梗塞にMSCを静脈内投与すると、肺肝脾に集積し脳にはほとんど存在しない。経動脈投与は他臓器排除を回避し脳に生着する事が111Inで確認されているが、やはり早期に肝脾に移行すると考えられている。ただ動物種での違いは不明なのでヒトとラットのMSCIAしたときに分布に違いがあるかを検討する

 <Method>
ラットにThreadモデルで脳梗塞を作成。ECAを断端で切断した。ヒトもしくはラットMSC99mTc-HMPAOで標識し、200万個/500uLを脳梗塞24時間後にECA断端より投与した。20分、36時間にSPECTで全身の細胞分布を確認した。

 <Result>
IA直後には脳内に多くのシグナルが確認され、組織切片では血管内に細胞が存在していた。しかし6時間後にはヒト・ラット共に脳内細胞は減少(ラット60%<ヒト20%)、肝臓脾臓ではヒト>ラットとなった

 <川堀の感想>
2つの事が示される良い実験だと思う。①頸動脈的に投与しても6時間後にはほとんど存在しない事、②ラットとヒトではヒトの方が異種と言う事で約3倍ほど多く除去された。将来ヒトに行くためにラットにヒト細胞を用いた場合の排除の目安となると考えられた