CEA術後の過還流を生じた部位では神経細胞の脱落が生じる

Postoperative cortical neural loss associated with cerebral hyperperfusion and cognitive impairment after carotid endarterectomy: 123I-iomazenil SPECT study.
Chida K, Ogasawara K, Suga Y, Saito H, Kobayashi M, Yoshida K, Otawara Y, Ogawa A.
Stroke. 2009 Feb;40(2):448-53.

Abstract
CEA後の過還流によるの高次脳機能障害はMRIでは検知できない事が多いのでIMZ-SPECTで可能かを検討した。60人のCEA患者に対して脳血流(術前・3日後)・IMZ(術前・一か月後)を計測し高次脳機能障害との関係を見たところ、15%に障害を認め、それらは効率に過還流を生じていてIMZも低下していた。

Figureの説明>
A:脳血流(左:術前、右:術後 左半球が過還流になっている)、B:過還流Map
CIMZによる神経細胞(左:術前、右:術後、過還流を起こした場所で大きく落ちている)、D神経細胞map 

Introduction
CEA後に過還流になる事はままあり、MRI上の異常が無くても高次脳機能障害を来すことはある。脳の神経細胞のベンゾジアゼピンレセプターを描出するIMZ-SPECTを用いて過還流患者でIMZが低下しているかを検証した。

Methods
60人の頸動脈狭窄(>70%、平均86%)患者(37人症候性・23人無症候性)にCEAを行った。脳血流はCEA前と直後にHM-PAOで行い2倍以上上昇しているピクセルが全体の50%以上を過還流と定義。神経細胞評価はCEA前と1か月後にIMZ-SPECTを行い、8%以上の低下を低下と定義。高次機能はWAIS-Rを用いた。

Results
CEADWI陽性23%・過還流15%3%で過還流に対する長期治療が必要だった。IMZ低下領域は過還流患者(9%)が非過還流患者(5%)より高かった。術後IMZ低下と関係があった因子は術後過還流の頻度(55vs6%)で、術後高次脳機能障害と関係があった因子も過還流とIMZ低下であった。

<川堀の感想>
友人の千田先生の論文。頸動脈狭窄で高度狭窄患者にCEAを行うと術後過還流のリスクが高い事は言われていたが、実際に過還流を起こすと起こした場所でIMZが低下し、高次脳機能障害を来すという結論が得られた。これは日々の臨床での印象とも同じだった。ただIMZ低下の定義が全ての脳をピクセル化して評価する方法だったが、脳内には重要な場所とそうでない場所があるためサブ解析できると良いだろう(現実的にはその定義が難しい)。