30日後の橋でのDTI値が脳梗塞の2年後の麻痺回復と相関
Decreased corticospinal tract fractional anisotropy predicts long-term motor outcome after stroke.
Puig J, Blasco G, Daunis-I-Estadella J, Thomalla G, Castellanos M, Figueras J, Remollo S, van Eendenburg C, Sánchez-González J, Serena J, Pedraza S.
Stroke. 2013 Jul;44(7):2016-8.
<Abstract>
MRIによるDiffuse tensor imaging (DTI)による運動神経の描出具合が脳梗塞患者の麻痺残存を予測できるか検討した。脳梗塞後12時間/3日/30日でDTIを撮影し橋で左右比を比較したところ30日後が2年後の麻痺残存と相関した。左右比0.982以上は予後良好、0.689以下は予後不良であった。
<Figureの説明>
30日後の橋におけるFA値の左右差が2年後の麻痺の回復と相関している。0.68以下は麻痺の回復が悪い
<Introduction>
脳梗塞後の回復予測は重要であるが予想できないことが多い。MRIによるDiffuse tensor imaging (DTI)は神経線維(白質)の描出が可能で、Fractional anisotropy(FA)値で評価可能である。この値を用いて2年後の麻痺の改善具合を予測できるかを検討した。
<Methods>
MCA領域に脳梗塞が生じた89名の患者を対象とした(6名再発・9名死亡で除外)。麻痺の評価はNIHSSの手足の項の合計を用い(0:良好、1-4:中等度、5-8:重度)で、2年後の状態はMotoricity Index(100:予後良好、50-99:中等度、50以下:不良)を使用。DTIは橋でのFA値の左右差を比較した。
<Results>
入院時NIHSS平均12点。橋における病側のFA値は入院時はどの群でも0.6前後であったが重症群だけ30日後に0.4前後に低下し、この左右差のみが2年後の状態と相関があった(30日後麻痺の程度や梗塞サイズ、内包後脚に梗塞がかかっているかは相関無し)。0.98以上は予後良好、0.689以下は予後不良であった。
<川堀の感想>
2年後の麻痺改善を予測する因子として、入院後30日目の橋におけるFA値の左右差(健常側との比較)が有用という非常に重要な研究である。特に30日後の麻痺の程度、内包後脚でのトラクトグラフィーのかかり具合、梗塞サイズは関係なかった点も驚いた。ただ橋以外や他のDTIの撮像方法も検討する必要があると思われた(中心前回から梗塞部までなど)。