20180131 脳梗塞に対する骨髄幹細胞静脈投与(札幌医大)

Intravenous administration of auto serum-expanded autologous mesenchymal stem cells in stroke
Brain. 2011:1790-807.

Abstract
今回細胞増殖に自家血清を用いて、自家骨髄幹細胞を脳梗塞患者12人に静脈投与し安全性と有効性を見る臨床試験を行った。脳梗塞後36-133日後に投与したところ、安全性に問題は無く、NIHSSの一日当たりの改善ペースは0.36とそれまでの0.04より有意気に加速し、梗塞巣は治療後1週間で20%以上縮小した。


Figureの説明>
細胞投与から一か月以内に運動機能の劇的な改善が得られていて、治療前のペースより明らかに早い。

Introduction
脳梗塞に対するBMSCの効果は多くの動物実験で証明され、神経細胞分化や神経保護効果、抗炎症効果、血管新生効果などが確認されている。既にBangらがFBSで育てたBMSCを患者に投与し安全性と一部有効性が示されている。今回患者の自家血清を用いてBMSCを育て脳梗塞患者へ静脈から単回投与して安全性と有効性を見る臨床試験を行った。

Methods
12-75歳、脳梗塞後6か月以内、mRS3以上の患者12人。細胞は患者から取得し、DMEM&本人血清&Lグルタミン&抗生剤で1億個まで育て(20日前後)、凍結保存し、当日溶かして静脈投与した。幹細胞はCD24,34,45,105FACSで確認。運動機能とMRIで評価した

Results
投与前NIHSS4-20。ラクナ3人、アテローム6人、心原性1人、モヤとクリップ後1人ずつ。細胞投与は脳梗塞36-133日後。投与までの一日当たりのNIHSS改善度は0.04だが、投与1週間は0.361-2週は0.1422-4週は0.011-3か月は0.0163-12か月は0.002MRIの脳梗塞サイズも2週以降で有意に減少

<川堀の感想>
Bangらに続いて、骨髄幹細胞を静脈より投与した報告で、脳梗塞からある程度時間がたっているにも関わらず、急速な運動機能の改善が得られたことは非常に素晴らしいことと考えられる。我々の行っている直接投与法の治験「RAINBOW研究」の“先輩”にあたり学ぶことは多い。