高齢者の重症(WFNS4/5)のSAHの予後

Survival and Outcome After Poor-Grade Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in Elderly Patients.
Goldberg J, Schoeni D, Mordasini P, Z’Graggen W, Gralla J, Raabe A, Beck J, Fung C.
Stroke. 2018 49(12):2883-2889

Abstract
6ヶ月以上の長期成績が少ないため、高齢者で重症のSAHに治療を行うべきかは議論がある。スイスベルン大学で2005-1760歳以上、WFNS4/5の患者のデータを解析した。平均生存期間は60-69歳で56ヶ月、70-79歳で32ヶ月、80-90歳で8ヶ月であった。高齢ほど死亡率(6%/年)・機能予後不良(11%/年)が多かった。


Figureの説明>
高齢者の年齢別の退院時と6-12ヶ月後の予後。右(青)に行くほど予後が良い。退院時にmRS4(自分で歩くことは出来ない)とmRS5(ほぼ自分で何も出来ない)が12ヶ月後の分かれ目になるように見える。

Introduction
高齢化社会によって高齢SAHが増えてきているが、6ヶ月以内のデータや少ない患者数のみが存在するため、60歳以上の重症SAHを治療するべきかはわかっていない。今回重症(WFNS4/5SAHで長期成績について調査した。

Methods
スイスベルン大学で2005-17に記録したデータを用いた。SAHWFNS grade 4/5)で60歳以上(60-6970-7980-90に分けた)の6-12ヶ月後のmRS0-3予後良好、4-6不良)を評価。性別・入院期間・脳出血有無・死亡率・退院先・クリップ/コイル/無治療等を比較した

Results
146人の患者(6072人、7054人、8020人)で評価。生存期間(6056ヶ月、7032ヶ月、808ヶ月)、死亡率は年齢に有意に悪化した。高年齢・WFNS5・脳出血が予後不良因子であった。退院時と6ヶ月以上後の予後良好群は(602841%709.317%80010%)となった。

<川堀の感想>
日本では概ねWFNS4/5は治療することが多いと思われるため、高齢(6070代は治療すると思われるので80代のみ)に対してするべきかどうかが議論になってくると思われる。本研究では生存した患者の10%ADL自立となっている。これを高いとみるか低いとみるかは議論があるが、決して満足いく数値では無いと思われる。くも膜下出血の治療は莫大なコストがかかるため、医療費との総合的な判断が必要だろう。