頭蓋内動脈狭窄に対するステント治療の成績(WEAVE試験)

WEAVE Trial: Final Results in 152 On-Label Patients.
Alexander MJ, Zauner A, Chaloupka JC, Baxter B, Callison RC, Gupta R, Song SS, Yu W; WEAVE Trial Sites and Interventionalists.
Stroke. 2019 Apr;50(4):889-894

Abstract
頭蓋内ステントWingspanの市販後調査。使用適応(22-80歳、症候性頭蓋内狭窄70-99%mRS3以下、2回以上の脳梗塞、発症から8日以上)を満たす152人で72時間以内の合併症を調査。周術期重篤合併症は2.6%2名軽度脳梗塞、2名死亡)。経験ある術者が適応を守って使用した場合成績は大変良い

Figureの説明>
頭蓋内動脈狭窄の患者に対してWingspanを留置した試験の成績一覧。SAMMPRISがいかに成績が悪いか分かる(右のPeriprocedural Event Rate)。

Introduction
頭蓋内血管狭窄(>70%)の患者では1年間の脳梗塞初発・再発リスクが1423%WASID試験)と非常に高い。Wingspan頭蓋内ステントは2005年の試験(72時間合併症2.2%)で承認を受けたが、その後のSAMPMPRIS試験(患者適応が緩い)で周術期合併症14.7%と非常に高い結果が出た。今回厳密な適応基準による市販後調査を行った。

Methods
患者は22-80歳、症候性頭蓋内血管狭窄70-99%で距離2mm以上、mRS3以下、脳梗塞から8日以後。術者は多くのWingspan経験があること。治療は血圧変動20以下、ACT250-300DAPT、ニカルジピン(スパズム予防)、Gatewayで血管径80%以下・6atm以下(穿通枝が近いときは60%)。72時間後の合併症を評価

Results
患者は62±10歳、Gateway6.3気圧・60秒、ACT260-208、狭窄は83±8%→術後28±17%に減少。術72時間後4例(2.6%)の合併症(2名:軽度脳梗塞、2名:死亡(出血性梗塞・穿通枝梗塞))。経験50例以上の施設の合併症は0%で、それ以下は4.8%であった。

<川堀の感想>
頭蓋内血管狭窄に対するステント留置はSAMMPRIS試験で効果が認められないという報告であったが、試験自体が非常に緩い基準(患者および術者)で行われたことが原因であったことが、今回非常に厳密に適応を決めた試験で示された。有効な治療法であっても経験ある術者が効果と安全性が十分予想される患者に対して行わなければ意味が無いことを示している。