20151222 tPA後の小出血は予後良好と相関している

Risk factors for severe hemorrhagic transformation in ischemic stroke patients treated with recombinant tissue plasminogen activator Stroke 2001; 32: 438-441

 AbstracttPA治療は脳梗塞に有効だが、出血性梗塞のリスクがある。今回ECASSⅡのサブ解析を行いその特徴を探った。tPA治療は中等症~重症出血性梗塞と相関したが、軽傷出血とはなかった。出血のリスクファクターはtPA治療・初期CTでの低信号・慢性心不全・高齢・収縮期血圧高値であった。

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Figureの説明>左:tPA後の出血のリスクのOdds ratioCT低値とCHFが高い相関。右:年齢が上がるにつれて出血性梗塞のリスクが上がる。

 Introduction>脳梗塞に対するtPA静注療法は出血性梗塞という重篤な合併症があるため的確な患者選択が必要である。過去に報告されているリスクファクターは重症神経所見・急性期CT低信号・高齢だが、CT所見もしくは神経所見のみの評価のため、今回ECASSⅡで画像+神経所見で出血性梗塞を評価しリスクを検討した。

 MethodsECASSⅡはtPA静注多施設ランダム化試験(0.9mg/kgかプラセボ)で、発症6時間以内・18-80歳・CT低信号MCA領域33%以下の患者が対象。出血性梗塞はHI(軽傷)、PH(周辺圧迫あり)・SICHNIHSS4点以上低下)と定義。出血性梗塞の種類と予後を比較した。

 Results>出血性梗塞は全体で45%HI35%PH8%SICH5%)。予後不良群(mRS5,6)と相関があったのはPHOR4.8)とSICH6.9)であったが、HIとは逆相関(0.4)を認めた。PHのリスクファクターはバイアスピリン(5.0)・CT低吸収(2.6)・心不全(2.6)・高齢(1.1)・高収縮期圧(1.1)であった。

 <川堀の感想>tPAの予後悪化と大出血は相関するが、小出血はむしろ予後良好と相関するという面白い報告であった。また予想通りすでに完成した広範囲脳梗塞には逆効果というのは理解可能であった。今後そのような人をいかに救うかが今後の課題と思われる。