20151207 白質は灰白質より虚血に強い

Is white matter more prone to diffusion lesion reversal after thrombolysis? Stroke 2014;45:1167-69

 Abstract>白質は灰白質よりも虚血に強いと言われていることを虚血再灌流のDWI高信号消失の違いで検討した。発症時と再灌流後24時間後のMRIで虚血Coreと可逆性早期DWIRAD)を白質と灰白質で検討した結果、DWI消失は白質61%・灰白質53%と白質で有意に多く虚血に強かった。

dwi-full

Figureの説明>発症時(DWI1)に比して24時間後(DWI2)は陽性部分が小さくなっていて、これは特に白質領域で顕著に縮小している(75%縮小)。

 Introduction>白質と灰白質は構成細胞・血流・代謝などの違いから虚血に対して白質の方が耐性が強いと考えられてきた。これを証明するために急性期血行再建術後のDWIの消失率(RAD)が白質と灰白質でどう違うかをquantitative analysisで検討した。

 Methods4.5時間以内に血行再建された患者から発症時(DWI1)と24時間後(DWI2)のDWI消失率が高い(>10ml, >10% DWI130人を対象。DWI陽性はvoxel毎にthreshold=0.5で定義し、coreDWI1/2共に陽性とし、DWIの消失した比を白質・灰白質で検討した。

 Results>平均再開通134分でDWI1 65mlRAD23mlであった。RADCoreの構成成分で白質が占める割合は60%50%で、有意にRADで多かった(P=0.01)。また白質は灰白質よりRADになりやすかった(61%vs54%)。DWI1の白質成分の多さはRADの大きさと正の相関があった。

 <川堀の感想>実際の臨床と同様で、白質のDWIが消えることが実際の研究でも示された。ただこの研究は再開通時間が平均134分と超短時間での再開通なので、このレベルで行わなければこれほどの結果は得られないだろう。より一層の努力が必要と感じた。