20180511 くも膜下出血後の血管れん縮には抗血小板薬2剤投与が良い

Dual antiplatelet therapy in aneurysmal subarachnoid hemorrhage: association with reduced risk of clinical vasospasm and delayed cerebral ischemia. 
J Neurosurg. 2017 Nov 3:1-9. [Epub ahead of print]

Abstract>くも膜下出血コイル治療後の血管れん縮に対して抗血小板薬2剤投与(DAPT)の効果を検証した。161人(85DAPT, 76control)で血管れん縮はOR0.24、脳梗塞はOR0.06DAPT群で著明に減少し、脳室ドレナージやVPシャントによる出血性合併症は同じであった。

 

Figureの説明>重大な血管れん縮と脳梗塞が大幅に2剤抗血小板薬投与群(DAPT群)で減少している

 Introduction>くも膜下出血後に生じる症候性血管れん縮は20-40%もいて、後遺症等を生じる大きな原因である。その原因は凝固活性亢進、微少塞栓、炎症反応など言われているが、不明な点も多い。これらを抑制する抗血小板薬の効果が期待されていることから、コイル後の患者において2剤投与(DAPT)の効果を検証した

 Methods>アイオワ大学。Hunt/Hess分類ⅠⅢ(ⅣⅤでも脳室ドレナージ後に改善した例はOK)でコイル治療した患者のみ評価。ステント/フローダイバーターを用いた群はDAPT群とし、コイルのみで抗血小板薬なしをコントロール群とした。CT/造影CTで血管・血流・梗塞を評価した。

 Results312人中161人が基準を満たした。DAPT85人、コントロール76人でH/H分類などは同じだが、DAPTICA動脈瘤多い(21%/5%/Acom少ない(58%/27%)という違いがあった。症候性血管れん縮はOR0.24、脳梗塞OR0.06DAPTで有意に少ないが予後は良い傾向を示したのみ。出血は変わりなかった

 <川堀の感想>OR(発生する可能性)が0.06(つまり20分の1になった)ということはDAPTは非常に血管れん縮に効果があるということだろう。出血でも差が無いと言うことであれば積極的に使用しても良いと考えられた。ただ患者の背景が違うので盲信することは控える必要あり。