20151106 日本人高齢者の未破裂Anの破裂率

Risk of rupture of unruptured cerebral aneurysms in elderly patients. Neurology, 2015; 85:1-7

 Abstract70歳以上の高齢者での未破裂脳動脈瘤をフォローし、破裂率を検討した。UCAS Japan, UCAS II, 慈恵の症例2227個を900日フォロー。Anは平均6.2mm3.6%が破裂し、多変量で7㎜以上(HR3)ICPC2.5)80歳以上(2)が有意な破裂因子であった。

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Figureの説明>70代と80代での破裂のカプランマイヤーカーブ。80代の方が破裂のリスクが高いことがわかる。

 Introduction>高齢者のAn破裂率は重要だがわかっていない。UCASでは5720人中1577人(28%)70歳以上であった。治療には平均余命・合併疾患・手術リスク・破裂時の重症度を総合的に判断する必要があり、日本で行った3つの未破裂動脈瘤フォローの前向き研究から高齢者を抽出し検討する。

 MethodsUCAS JapanUCAS II、慈恵医大研究 の3つから70歳以上を抽出(それぞれ1844, 268, 115個)。3mm以上の瘤を最長8年観察し、治療は患者・医師に一任し治療を受けた患者はその時点までのデータを入力した。Anの場所や大きさと破裂の有無を検討した

 Results>平均74歳、大きさ6.2mm。治療は7030%804%で施行。フォロー平均は800日で、3.6%の患者が破裂した(年1.6%リスク)。多変量解析では80歳以上(HR2)、7mm以上(7-9mmHR310-24825-43)、Pcom2.5)であった

 <川堀の感想>70代より80代の方が破裂しやすかったというのは新たな発見であった。高齢であれば一旦破裂すると寝たきりになる危険性があるので、安全に出来るのであれば症例を選び積極的に行うのが良いと考えた。