20150831 動眼神経麻痺のAnのクリップとコイル
A retrospective comparison of the influence of surgical clipping and endovascular embolization on recovery of oculomotor nerve palsy in patients with posterior communicating artery aneurysms Neurosurgery, 2015 76
動眼神経麻痺で発症したPcom Anはクリップのほうが良く治る
<Abstract>動眼神経麻痺で発症したPcom Anに対してクリッピングとコイリングによる麻痺の改善を検討した。132人がクリップで44人がコイルで治療され、改善にかかる日数(83日対137日)と回復率(99%対68%)とクリップが有意に良好であった。発症から治療までの時間も関係があった。
<Introduction>Pcom Anは全Anの25%を占める高頻度のAnであり、破裂・未破裂両方で動眼神経を圧迫し麻痺を生じるのが20%程度ある。クリップとコイルがAnの治療の大部分を占めるが、それによる動眼神経麻痺改善の頻度は不明である。単施設での治療成績を後方視的に検討する。
<Methods>中国の大学。2008-2012に治療した動眼神経麻痺で発症したPcom An176人を検討した。132人がクリップ・44人がコイルであった。クリップはPterionalで行った。動眼神経麻痺は1,3,6,12か月後までフォローし、完全・部分改善・不変・増悪に分けた。ん
<Results>2群間で年齢・SAH率(50%前後)・術前日数等のベースラインに違いがなかったが、術後回復期間(84日と137日)と回復率(99%と68%)とクリップで良好であった。治りにくいのは散・対光反射であった。多変量解析では治療までの日数(OR0.9)と治療法(OR8.3)であった。
<川堀の感想>Anの神経圧迫で生じる麻痺についてはクリップによる減圧が大変有効で、治療率が99%というのには驚いた。複視は辛い症状であり患者のQOLを著しく落とすためクリップが望ましいと思う。ただ、論文中の手術の写真はAnおよび神経を完全に露出する前にクリップしており我々のやり方とは違う。