脳梗塞:テネクテプラーゼはtPAと同等の効果
Tenecteplase Versus Alteplase Between 3 and 4.5 Hours in Low National Institutes of Health Stroke Scale. Rønning OM, Logallo N, Thommessen B, Tobro H, Novotny V, Kvistad CE, Aamodt AH, Næss H, Waje-Andreassen U, Thomassen L.
Stroke. 2019 Feb;50(2):498-500.
<Abstract>
発症3-4.5時間の患者の血栓溶解療法においてテネクテプラーゼ(より強いフィブリン親和性、長い半減期)の安全性・効果をtPAと比較した。患者は平均NIHSS3(25%タイル2-6)で、3ヶ月後の予後良好群のオッズ比は1.2(95%信頼区間0.7-2.1)、頭蓋内出血は0.8(0.3-2.7)(テネク5.7%、tPA4.5%)で、tPAと効果・安全性は同等であった。
<Figureの説明>
全ての項目で(3ヶ月後の予後良好群、24時間での劇的改善、脳出血、死亡)変わらなかった。
<Introduction>
血栓融解療法においてtPAは4.5時間まで有効であるが、最近出たテネクタプラーゼはより強力かつ安全な薬である可能性が指摘されていて、今回特に3-4.5時間で治療が行われた患者を比較検討することにした。
<Methods>
NOR-TEST(ノルウェーテネクテプラーゼ試験)のサブ解析として発症3-4.5時間でテネクテプラーゼもしくはtPAが投与された患者で効果・安全性を比較する事にした。主要評価は予後良好群(3ヶ月後のmRS0-1)とし、副次項目として、劇的改善率や脳出血・死亡を検討した。
<Results>
背景はNIHSS中央値3で各群同じであった。ITTで予後良好(mRS0-1)になった比率はテネクテプラーゼ57%、tPA53%で変わらず3ヶ月後の予後良好も61vs57%で変わらなかった。48時間以内の脳出血も5.7vs6.7%と変わりなし。ただ2名の脳出血死亡はテネクテプラーゼだった。
<川堀の感想>
テネクテプラーゼはアルテプラーゼ(rtPA)と比較してフィブリン特異性が高く,作用時間が長いためより効果があるのかと思ったが、変わらないとのことであった。そもそもtPA自体が血栓回収に比べると再開通率が悪いので、テネクテプラーゼが出ても爆発的に普及する(既存の治療法を大きく変える)ことはないと思った。