コイル塞栓中の破裂に対する緊急母血管血流停滞法(コイル)
Rapid temporary coiling of the parent artery for the management of intraprocedural aneurysm rupture.
Waqas M, Vakharia K, Levy BR, Housley SB, Dossani RH, Gong A, Cappuzzo J, Levy EI.
Brain Circ. 2020 Dec 29;6(4):274-279.
<Abstract>
脳動脈瘤コイル塞栓術中の術中破裂は非常に重大な合併症を生じる。動脈瘤へのコイル追加・バルーンによる血流遮断・簿血管閉塞などが行われるが、今回新たに「コイルによる母血管の血流一時停滞法」について報告する。これによって最低限の血流を担保しながら動脈瘤内の血栓化を来すことが出来るなどの利点がある
<Figureの説明>
破れたときのイラスト。手前で完全に血流が止まらなくてもかなり下げることが出来るとのこと。(全身麻酔なら血圧を極限まで下げるのでも良い様な気もする)
<Introduction>
脳動脈瘤コイル塞栓の術中破裂は非常に重大な合併症となり、コイル追加(更に破れる)・バルーンによる血流遮断・母血管のコイル閉塞(遠位部の虚血)などが行われるが()の様な合併症が生じる。今回母血管にある程度のコイルを巻くことで血流を下げて、その間に敗れた動脈瘤の血栓化が可能であった症例があったので報告する。
<症例報告>
症例1は未破裂MCA。ステントアシストでコイリングをしていたところ3つ目のコイルでruptureした。カテをM1遠位に戻し同部位で5mmx15cmのコイルで血流を下げてヘパリン中和をしたところAn内の血栓化が進行し出血は停止した。症例2はVA-PICA・症例3はAcomで同様に母血管を完全に閉塞させる事なく血流低下で出血を停止する事が出来た。
<川堀の感想>
術中破裂は非常に恐ろしい合併症で、私自身もつらい思いをした。バルーン(瘤の近くと外ディングの両方)を待機状態にしておけば、こんな事になってもほぼクリア出来ると考えているが、何らかの理由でバルーンがうまくいかないなどの時には役に立つかもしれない。ただここにも書いてあるが、ある程度動脈瘤にコイルが入った状態で無ければ止血効果が得られないからfirst coilで破裂した場合などには使えないだろう。