20151121 SAH後の高血圧はCBF改善にあまり関与しない
Effect of induced hypertension of cerebral perfusion in delayed cerebral ischemia after aneurysmal subarachnoid hemorrhage. Stroke 2015 46(11):3277-81
<Abstract>SAHのスパズム対策のtriple H治療の有効性は依然不明である。今回昇圧療法の有効性に対してランダム試験を行った。ノルアドで平均12mmHgの血圧上昇を行い、CTperfusionで+0.1mL/100gの血流増加(コントロールは-8.5、P=0.25)で有意なものではなかった
<Figureの説明>左がノルアドで昇圧した前後のCBFの変化で右がコントロール。脳血流の障害されている部位で血流上昇効果が確認されたが、両群の差は統計学的に有意なものではなかった。
<Introduction>SAH後の遅発性虚血(DCI)は予後を悪くし、スパズムの関与が大きい。Triple H治療が行われてきて特に昇圧療法が最も期待されるが、uncontrolled case studyの結果のみでエビデンスとして弱い。今回昇圧療法の有効性をCTPerfusionで検討した。
<Methods>オランダの多施設ランダム化試験。DCIは他の原因(水頭症・再出血・痙攣・電解質異常)でないGCS1以上の低下や神経所見出現と定義し、24-48時間以上ノルアドレナリンで230/130を上限に昇圧した。CT Perfusionを治療前・24-36時間後に撮影しCBF変化を評価。
<Results>25例で検討。昇圧療法でコントロールに比して平均12mmHg昇圧が行われた。CBFは昇圧群で0.1mL/100g, コントロールで-8.5の変化で、有意なものではなかった(P=0.25)が、最も血流が低下している場所でCBFが改善している傾向は認められた。合併症は死亡・心筋梗塞・afがあった。
<川堀の感想>神経学的な差を出すにはnが少なすぎるが、少なくとも有害であったという結論ではなかったことは良いと考える。当院では血圧(α1作用)ではなく血流(β1)を上昇させるためドブを使用しており、triple Hは脱水にしないなどのnormoを厳守することに意義があると考えている。