20160215 120以下の血圧降下強化群は予後が良い
A randomized trial of intensive versus standard blood-pressure control: SPRINT N Engl J Med. 2015;373(22):2103-16
<Abstract>心血管イベントを減らす最適の降圧目標を検討した。約9300人の高血圧患者を120以下(強化群)と140以下(通常群)に分けた。1年後平均血圧は121 vs 136となり、3.3年フォローした結果、心血管系イベントは1.7% vs 2.2%と有意に低下した。全死亡率も30%低下した。
<Introduction>高血圧(特に収縮期血圧)が心脳腎血管系イベントの一番のリスクである。過去に降圧が脳梗塞(35%低下)、心筋梗塞(20%低下)、心不全(64%低下)と有効であることが分かっているが、DM患者では変わらないという結果もあり最適な降圧値は不明である。今回120以下と140以下に分けて予後を検討した。
<Methods>ランダム化オープン試験。患者は50歳以上・血圧130-180mmHg・心脳腎血管リスク群(脳卒中・慢性腎不全(eGFR20-60)・フラミンガムリスクスコア(高脂血症や喫煙などから算出)15%以上。120以下と140以下に分けてサイアザイド系利尿薬などで治療。血圧は外来で評価。3か月ごとにイベントを評価した。
<Results>9361人。平均血圧は1年後で121と136に低下(薬剤数は2.8と1.8)。血管イベントは1.7%と2.2%(OR0.75)、全死亡もOR0.7、特に血管系死亡は43%低下強化群で低下した。強化群での副作用では腎障害の悪化(GFR30%以上悪化OR3.5)であった。低血圧や除脈がOR1.9と強化群で高かった
<川堀の感想>利尿薬系を使った降圧強化治療が死亡率(特に心脳血管系イベント)を大きく低下させることが明らかとなった。副作用も許容できるレベルのようでありリスクの高い患者にはやはり積極的な降圧が望ましいと考えた。ただ本研究は米国で平均BMI29と太った人を対象としているので基本的に痩せている単純には日本人に導入できない。