YouTubeの脳卒中教育ビデオの質は比較的高い
YouTube as a source of patient information for stroke: A content-quality and an audience engagement analysis. Szmuda T, Alkhater A, Albrahim M, Alquraya E, Ali S, Dunquwah RA, Słoniewski P. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2020 Sep;29(9):105065.
<Abstract>
YouTubeには多くの医療情報もアップロードされているがその品質は不明。今回脳卒中に対する動画の質をDISCERN法で検討した。101個の動画をチェックして、病院からの発信(65%)、症状の説明(66%)、医師による説明(60%)など概ね満足できる結果であった。
<Figureの説明>DISCERNスコア:
タイトルは明確か?
タイトルの目的が達成されているか?
タイトルとの関連はあるか?
情報源が明確か?
情報源の時期は明確か?
情報が偏っていないか?
他の情報源へのアクセス方法が知らされているか?
不確実性の説明がなされているか?
各治療法の機序が説明されているか?
各治療法のメリット・デメリット・治療しなかったときのリスクの説明されているか?
治療法がQOLにどのように関係するか説明されているか?
1つ以上の治療法が説明されているか?、
治療決定には医師患者の合意が必要と説明されているか?
ビデオで説明されている内容の頻度。リスクの説明が少ない
「いいね」と内容の相関。MRI画像を出す事と教育チャンネル発が高評価だが、意外にも医師の説明や患者経験はマイナスに作用していた。
<Introduction>
YouTubeは2億人のユーザーが存在する世界で2番目に大きなデータベースである。医療に関する動画も多く存在し、その品質は適切な患者教育という観点から重要だが、脳卒中の動画の質は検討されていない(グリオブラストーマなどは有り)。今回DISCERN法を用いてアップロードされているビデオの品質を評価した。
<Methods>
YoutubeでStroke、Brain attack、Hemorrhagic stroke、Ischemic Stroke、Transient ischemic strokeを検索して、上位(YouTubeデフォルト)30までのビデオ(全150個)を、4人の医学生に16項目(各5点満点)からなるDISCERN法でチェックしてもらった。視聴者評価とDISCERN法との相関もチェックした
<Results>
4人の評価の相関係数は0.93と高値。101のビデオが選択され、66%が病院発、30%が教育放送発、平均視聴数は11万件(100-300万)で、長さ9分(0.5-50分)であった。よく出る内容は、症状説明(66%)、医師の説明(60%)、治療結果(57%)で、少ないのは治療法まとめの図(21%)、患者の声(21%)、リスク(15%)であった。高評価との相関は放射線画像有り(OR:7)、教育放送(2.7)、低評価との相関は医師の説明(0.05)、患者経験(0.2)であった。
<川堀の感想>
デジタルが急速に進歩する中で、YouTubeにアップロードされている脳卒中関連の動画の品質を評価するという目から鱗の研究。DISCERNスコアはどのような患者への説明が望ましいのかをチェックするのに有意義だと思うし、患者は画像や分かりやすい動画(教育放送発)を求めていることも新たな発見であった。ただ今回は英語チャンネルだけを対象としているので、日本とは状況が違う(日本は主治医への信頼が厚い)ことは考慮すべき。