20251202 脳梗塞に狂犬病ウイルスタンパクを発現させたMSC由来エクソソームは有効

Exosome Mediated Delivery of miR-124 Promotes Neurogenesis after Ischemia
Yang et al. China
Mol Ther Nucleic Acids. 2017 Jun 16:7:278-287.

 <Abstract>
脳梗塞後の回復のためにmiR-124をエクソソームに入れたが、そのエクソソームが神経に取り込まれやすくするために狂犬病ウイルスタンパクとLamp2bタンパクをエクソ膜表面に発現させて脳梗塞モデルに静脈投与したところ神経新生が亢進した。

 <Figures>

幹細胞に狂犬病ウイルスタンパクと膜表面発現タンパクLamp2を遺伝子導入して成功した結果。

狂犬病ウイルスタンパク(RVG)をつけると付けなかったエクソソームより良好に脳梗塞に取り込まれた

<Introduction>
脳梗塞時にmiR124発現が神経細胞で亢進すること、それをブロックすると機能回復が遅れることから機能回復因子であると考えられる。ただBBBが邪魔をするため大量に届けるのは難しい。BBBを通過できるエクソソームに更に神経細胞接着性のある狂犬病ウイルスタンパクを膜表面に発現(Lamp2bを使用)すれば良いのではと着想した。

 <Method>
C56BL/6マウスを使用し、光感受性脳損傷(ローズベンガル使用)を行った。マウスMSCLamp2RVGVectorをエレポで導入し、超遠心法でエクソを獲得してからmiR124をエレポで入れて、表面にDiIで標識した。脳梗塞翌日に静脈投与した(投与量は不明)。

 <Result>
RVGエクソは脳梗塞部に特異的に集積していて、同部位の脳にはmiR1241.5倍ほど蓄積していた。同部位ではSOX2Nestinが減少しDCXが強発現していた

 <川堀の感想>
狂犬病ウイルスタンパクを発現させ神経への取り込みが良くなったとのことであったが、取り込み量の定量的な評価が無い、運動機能評価が無い等色々課題のある研究。ただ間葉系幹細胞へのRVGLamp2の取り込みは我々も進めており参考になった