細胞培養液作成(PL)の工夫

Alternatives to the use of fetal bovine serum: human platelet lysates as a serum substitute in cell culture media. Rauch C, Feifel E, Amann EM, Spötl HP, Schennach H, Pfaller W, Gstraunthaler G. ALTEX. 2011;28(4):305-16.

 Abstract
動物由来の製剤を使わずに幹細胞を育てることは、感染症・動物愛護の観点から重要である。血小板融解物(Platelet lysates; PL)を期限切れ血小板液から作り使用できるか検討した。最大限のα顆粒を取得する方法は凍結解凍であり、5%PL10%FBSと同じ効果が得られた。

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通常の血清よりもIGF-1(肝臓で作られる因子)以外はPLの法が10-100倍多く含まれる。これらの項目がより良いPL作成において検討すべき項目と思われる。

Introduction
細胞培養には培養液に追加の栄養因子が必要で仔牛血清(FBS)が通常用いられる(大人牛はγグロブリンなどの抗体のため不適)。ただFBSは動物愛護の問題・動物由来感染症リスクがある。血小板には創を治すために色々な栄養素が入っていて細胞培養可能だが、donorの血清が含まれるため一度生食洗浄した血小板が使用可能か検討した。

Methods
期限切れ血小板(約20億個)を遠心分離し、上清(保存液等)を破棄して、血小板を生理食塩水で洗ってから-20℃で凍結。3回凍結融解を行って遠心して上清(PL)を取得した。検討項目①PLの栄養因子の量、②不死化した腎細胞や白血病細胞などをDMEMをベースに10%FBS1,5,10%PLで育て違いを見る、などを行った

Results
凍結保存は5ヶ月まで品質が保たれていた。α顆粒放出量を表面のP-selectinで評価したところ洗った生食内には存在しなかった(この時点では放出されていない)。PL内部の栄養因子を比較すると血清より10-100倍多かった。細胞増殖は5%PLFBSと同じ育ち具合でERK系のPathwayが活性化していた。

<川堀の感想>
我々の治験でも安全性を考えPL(10%)を用いている。本報告は5%PL10%FBSと同じ程度の細胞増殖を行え代替品になり得るということだが、PLを用いてより良い効果のある細胞を作り出せないだろうか?本人の血小板を使うことやより良い細胞膜の破壊の方法など更に検討すべき事が多々あるようだ。