Sanbio細胞を用いた動物実験

Notch-Induced Rat and Human Bone Marrow Stromal Cell Grafts Reduce Ischemic Cell Loss and Ameliorate Behavioral Deficits in Chronic Stroke Animals Stem Cells Dev. 2009 Dec;18(10):1501-14. Yasuhara T, Matsukawa N, Hara K, Maki M, Ali MM, Yu SJ, Bae E, Yu G, Xu L, McGrogan M, Bankiewicz K, Case C, Borlongan CV. 

Abstract
慢性期脳梗塞モデル(1ヶ月)のラットにSanbioNotch1遺伝子導入細胞を投与した研究。運動機能改善:ラット幹細胞投与(10万・20万個〇、4万個✕)、ヒト幹細胞細胞投与(18万〇、9万✕)。細胞生着率は9-15%で多い方が回復が良く、12週目細胞染色で5%がグリア、23%が神経細胞になっていた

Figureの説明>

運動機能が少ない細胞では得られず、多い数でより良くなったことが証明された。脳内に入れる細胞は多い方が良いことは間違いないだろう。

Introduction
脳梗塞に対して300以上の臨床研究が行われたが有効性を示したのはtPAだけであった。しかし細胞内Notch1ドメインを挿入した骨髄間質細胞(BMSC)は、栄養因子を追加することで神経細胞に近い形に分化したことが確かめられていて、脳梗塞に有効な可能性がある。今回慢性期脳梗塞モデルに対して遺伝子改変BMSCを投与して効果を見る

Methods
脳梗塞threadモデルSDラット(1ヶ月後のswingテスト: 75%Bederson2.5点以上のみ使用)。細胞投与はラット細胞は4, 10, 20万、ヒト細胞は9, 18万個(遺伝子導入後2継代・凍結保存・解凍後85%以上生存率)。移植は1トラクトで3回(深さ4, 4.5, 5mm)投与。

Results
運動機能はラット細胞では20万>10万>4万の順で回復し、細胞投与2週から改善しその後12週目までキープされた。移植細胞の生着率10%でその70%が移植部に留まったが、移動した30%12週後に神経細胞マーカーを発現した。ヒト細胞も18万>9万>コントロールで改善した。生着率6%前後、神経細胞分化1%以下であったが、梗塞巣の細胞保護効果が見られた。

<川堀の感想>
脳梗塞慢性期(1ヶ月後)でも効果があるという結論であった。これは我々の研究室の結果(100万投与は改善するも10万はダメ)とは違った。これは実験手法の違い(我々は直接血管障害モデル、遺伝子導入しない細胞、運動評価はrotarod使用)にもよると思われるためどちらかが正しくどちらかが間違っているということではないと思う。ただ我々もやっていない脳梗塞後12週(実験開始から4ヶ月後)まで長期にわたる運動機能をチェックしたのは素晴らしいと思う。論文のFigureに誤植あり。