20150929 急性硬膜下血腫にも内視鏡が有効

Endoscopic hematoma evacuation for acute and subacute subdural hematoma in elderly patients JNS 2015 24:1-5 e-pub ahead of print

Abstract>高齢者の急性および亜急性硬膜下血腫に対して内視鏡と専用サクションを用いた血腫除去の安全性を検討した。適応は①症候性②70歳以上③頭蓋内出血・脳挫傷なし④急速出血拡大なし⑤凝固異常なし。平均82歳の11例に施行し、手術時間85分、1例に再出血を認めたが再手術で治癒。安全な方法と考えられた。

2014-10

Figureの説明>血腫を取るときの注意点で、骨の外板部分を削ることでよりスムーズに内視鏡を入れることが出来る。サクションは先以外はコーティングされていて、モノポーラーを根元に接触させることで止血が行える。

 Introduction>通常急性硬膜下血腫に対しては大きな開頭治療を要することが多かったが、高齢化が進むにつれてより低侵襲な治療が望まれるようになってきている。内視鏡による血腫除去は脳内出血においては有効と考えられるが、急性硬膜下血腫に対しては不明であるので限定された症例においてその安全性を検討した。

 Methods2007-2013川崎医大。症例は平均年齢82歳・GCS12。適応は①症候性②70歳以上③脳挫傷や脳内血腫なし④急速血腫増大なし⑤凝固異常なし。手術は局麻で3cmburr holeを血腫直上において4mm直内視鏡とイリゲーションサクション(モノポーラーにもなり出血点を止血した)を使用。

 Results>術後再出血は1例(9%)に認めreopで治癒したが、他は初回で血腫除去が可能であった。平均手術時間は85分で血腫除去率は87%。平均入院期間は26日で64%mRS0-2の予後良好群だった。血腫除去のポイントは骨の外板をなだらかにすることで内視鏡が入れやすくすることであった。

 <川堀の感想>高齢者の大開頭はその後の立ち上がりも悪いため、本法は選択された症例では大変有効な手法と思われた。出血点が事前にわかるような検査方法があれば、その直上にBurr holeを開けて止血するので、さらに有効性が上がると考えられた。専用イリゲーションサクションも有用である。