20150928 頭部外傷にはFFP+凝固因子が良い
Use of prothrombin complex concentrate as an adjunct to fresh frozen plasma shortens time to craniotomy in traumatic brain injury patients. Neurosurgery, 2015; 76: 601-607
<Abstract>凝固因子複合体(PCC)のワーファリン非内服患者の外傷性凝固異常への効果は不明である。この患者群にFFP投与とFFP+PPC投与で予後・コストに違いがあるか検討した。FFP+PCC群はINRの早期是正・手術開始時間短縮・輸血量減少・コストほぼ同等という結果が得られ有効であった。
<Figureの説明>FFP単独とFFP+PPCでのPTINR正常にかかる時間。FFP単独では8時間程度かかるが、PPCを追加すると3時間程度に短縮できる。
<Introduction>頭部外傷の患者の1/3は凝固異常を併発していると言われ、早期是正は予後改善に寄与する。是正治療は新鮮凍結血漿(FFP)が多いが、要解凍・凝固因子が低濃度など不十分なこともあり、濃縮凝固因子複合体(PCC)の有効性が指摘されている。ワーファリン非内服患者での有用性は不明であり検討した。
<Methods>2011-2013アリゾナ大学。AIS3点以上の重症頭部外傷(他の体は3点以下)でPTINR1.5以上(ワーファリン非内服)の患者が対象。FFP単独とFFP+PCC1単位投与群で予後等を検討した。FFPは15ml/kg、PCCはProfilnineで25U/kg投与。
<Results>両群でバックグラウンドは同じであった。PTINRの是正は95%で出来た。PCC+FFP群では、より早期に是正が可能で、MAP輸血量・FFP投与量・出血進行例が少なく、開頭手術までの時間も短縮され、ただ塞栓合併症は変わりなかった。治療トータルコストは若干PCC+FFP群で高かった。
<川堀の感想>頭部外傷におけるプロトロンビン複合体製剤の有効性が示されたと考える。日本ではPPSB-HT(薬価500U 3万円)が使用出来、他の論文でもワーファリン後の脳内出血の止血等に有効であったと報告されている。ただ保険外使用のため院内の倫理委員会での承認・患者への説明が必要で準備するべきと考えた。