20150903 SAHでクリップとコイルでシャント率は同じ

Long-term functional outcomes and predictors of shunt-dependent hydrocephalus after treatment of ruptured intracranial aneurysms in the BRAT trial: revisiting the clip vs coil debate Neurosurgery 2015, 76: 608-615

 AbstractSAH後のシャント率がクリップとコイルで違うかどうかを検討した。351人をクリップとコイルに前向きに振り分け治療したところ、42%にシャントが必要となり、両群間で違いはなかった。多変量解析の結果、脳室内出血と脳内出血が有意な因子であった。シャント群は非シャント群に比較しADLが低かった

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Introduction> くも膜下出血後のシャント率は高い(6-45%)が、シャント不全(143%1085%)、感染(10%)など合併症も多い。クリップ治療の方がLamina terminalis開放や血腫直接除去から発生率低いという報告もあるが、コイルとクリップでどちらがシャント率が高いかは不明。

 Methods>米国Barrow大学、2003-2007SAH患者471人をクリップとコイルに前向きに振り分けて、シャント必要率と様々な因子(年齢・性別・動脈瘤部位・・)を検討した。シャントはスパズム後に脳室ドレーンを20cm以上に上げて、脳圧が上がったり症状が出た患者にVPシャントを行った。

 Results> 471人中、63人は治療前に死亡し57人は動脈瘤のSAHでない。147人がシャントを要した(治療した42%)。単変量でのシャント優位因子は高齢・解離性An・重症・脳室内出血(第4脳室)・発症時水頭症・開頭だが、多変量では脳室内/脳内出血だけ。クリップとコイルは関係なかった。

 <川堀の感想>コイルとクリップではほとんど差はなかったとのことであるが、クリップが優位に良かった論文等ではLamina terminalisを開放していることが多く、今回はそれを行わなかった点が残念である。シャントを減らすためにはSAHの際には開けることも十分検討する必要があると思われた。