血管内皮細胞が出すエクソソームは脳梗塞に有効
Vascular endothelial cell-derived exosomes protect neural stem cells against ischemia/reperfusion injury.
Zhou S, Gao B, Sun C, Bai Y, Cheng D, Zhang Y, Li X, Zhao J, Xu D.
Neuroscience. 2020 Jun 2. pii: S0306-4522(20)30348-1
<Abstract>
脳虚血の際に血管内皮細胞から出るエクソソームが保護的に作用するのかを検証した。MCAOモデルに脳内皮細胞セルラインから取得したエクソソームを脳室投与したところ、梗塞巣縮小、機能回復、神経細胞新生(脳室壁SVZと海馬DG)が得られ、in-vitroでも神経障害緩和作用があった。
<Figureの説明>
エクソソームの大きさの検討(AとB)。ウェスタン(C)、細胞への取り込み(D)
エクソソーム投与で脳梗塞の縮小と、SVZにおける神経新制も活性化されている。(真ん中のExoがそれ、Controlは生理食塩水をいれたもの)
<Introduction>
エクソソームは30-100nmの小さな膜小胞で内部に脂質、タンパク質、mRNA、miRNAなどを入れ細胞間情報伝達を担っていて、幹細胞から出るエクソソームは神経保護効果がある。一方血管内皮細胞もエクソソームを分泌するが、それに神経保護作用があるか調べた。
<Methods>
脳梗塞モデルはSDラット90分スレッドで作成し、エクソソーム(100ug)は2時間後に脳室内投与。エクソソームは血管内皮細胞(購入)80%コンフルを血清無培養液で48時間育てから、上清を超遠心して獲得(-80℃保管)。梗塞サイズ、運動機能、免疫染色(神経新生)、アポトーシス抑制を評価
<Results>
エクソソームの存在は電顕とWestern(TSG101/Flotillin-2/Alix)と神経細胞取り込み(CM-PKH)で確認。エクソソーム投与は運動機能・梗塞サイズを改善し、SVZと海馬で神経新生(BRD-U/Nestin陽性)を促していた。またin-vitroでエクソソームは神経細胞のアポトーシスを抑制していた。
<川堀の感想>
我々もエクソソーム研究を進めているが、この論文は多方面から確認した非常に勉強になる論文。ただ脳室内投与は実際の患者さんに対してあまり現実的な方法では無く、静脈からいれても同様に効果があるかどうかについては検討しなければならないだろう。