モヤモヤ病でバイパス手術後の血流改善とドナー血管の大きさには相関がある

Using postoperative remodeling of donor arteries on MR angiography to predict the development of surgical collaterals in moyamoya disease
Haruto Uchino, Shusuke Yamamoto, Daina Kashiwazaki, Naoki Akioka, Naoya Kuwayama,  Kyo Noguchi, and Satoshi Kuroda
Departments of Neurosurgery and Radiology, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Science, University of Toyama, Toyama; and Department of Neurosurgery, Hokkaido University Graduate School of Medicine, Sapporo, Japan

Abstract
モヤモヤ病の複合バイパス手術後(大人28人小児18人)の血流改善とドナー血管(STA/MMA/DTA)の拡大率を比較した。STADTAはバイパス血流改善と血管径拡大に相関を認めたがMMAは相関無し。血管拡大率と良好血流改善のカットオフ値はSTA(大人10%小児30%)、DTA(大人60%小児20%)だった。

Figureの説明>

B:バイパス手術前、Dバイパス術後:(△STA、矢印1DTA、矢印2MMA)で共に術後に発達している

大人でも子どもでもSTADTAの発達は良好なパイパス血流と相関している。

Introduction
モヤモヤ病で術前術後の血流評価は血管造影検査がスタンダードであるが、その侵襲性から近年はMRAが代替視されている。今回脳血流の変化(血管造影)とドナー血管径の変化(MRA)に相関があるかを検討した。さらに臨床情報(脳血流障害やモヤStage)とドナー血管径にも関係があるのかを検討した。

Methods
71半球(大人28子ども18)が対象。SPECT血流は反応性0%以下を低下と定義。手術はdouble bypass&間接血行再建。3-6か月後の血管造影で良好・通常・ダメの3つに分類し、同時期のMRASTA(分岐直前)/MMA/DTA(最も近位側)の血管径(を測定し術前との比で表示し関係を比較。

Results
大人では血流改善度とSTA比(良好=2.0、普通=1.2、ダメ=1.0)DTA比(2.4/1.8/1.4)は相関したが、MMA(1.5/1.4/1.2)は関係なかった。小児もSTADTAに相関を認めた。大人では脳血流障害具合とDTA比は相関し、鈴木分類とDTA/STAも相関したが、発症形式(出血/梗塞)との相関は無かった。

<川堀の感想>
大学の後輩の論文である。モヤモヤ病のバイパス手術後の血流改善具合とドナー血管の発達にはSTA/DTAで統計学的な有意差を認めたという事であった(MMAも傾向はあり)。血流が入ることで血管径が太くなるだろうからある意味当たり前の事であるがそれを確実に証明した所に価値があると思う。大人は間接血行が入りにくいと言われているが、予想以上に入っていたことが新たに分かった。大人でも間接が入りやすい人と入りにくい人が分かるようになるとなお良いと思う。