血栓回収における頸動脈直接穿刺法

Direct common carotid artery puncture for acute thrombectomy against ischemic stroke. J Neurosurg Sci. 2018;62(5):612-614. Kawabori M, Osanai T, Goto S, Iwasaki M, Niiya Y, Mabuchi S, Houkin K.

<Abstract>
血栓回収における頸動脈直接穿刺法の有用性についての報告。アプローチが困難において6F short sheathをエコーガイド下に挿入。Penumbra 5MAXを主に血栓回収した。術後、鎮静・挿管を行い、40分要手圧迫し、翌日まで鎮静。3DCTAで血管損傷の無いことを確認し抜管・覚醒した。

<Figureの説明>

B、C:患者の頸動脈にシースが確認できる。D、E:シースは一部挿入する。抜けてくる危険性があるので縫合するのが良い、F:術翌日の造影検査で血管損傷無いことを確認。

<Introduction>
5分で1%ずつの脳機能が損傷されるため、早い再開通が必要な血栓回収療法において、アプローチ血管の極度の蛇行などによってカテーテルを上げられず時間を大幅を消費する場合がある。そのような時に頸動脈直接穿刺による血栓回収を行っていて、今回カテーテル抜去後の出血防止などの工夫を報告している

<Methods>
大動脈瘤・アプローチ血管高度屈曲の患者で、エコーガイド下に6Frショートシース(持続灌流つなぐ)を総頸動脈に挿入。Penumbraを主に吸引。術後は、鎮静・挿管を行い万が一の動脈損傷に備え、シース抜去後40分間の要手圧迫を行った。翌日3DCTAで血管損傷が無いことを確認して抜管・覚醒した。

<Results>
TipsとしてPenumbra 5MAXだけでは吸引できない場合はSolitaireを展開しPenumbraの中に戻してきた。別の症例は同様の処置を行ったが、Penumbraを抜いてきたところ6Fシースが血栓で詰まった。そのまま抜くと血栓が総頸動脈で外れる危険性があったので、持続吸引しながらシース先端を外頚動脈に入れ直しFlushして再開通を得た。

<川堀の感想>
時間が勝負の中、なんとしても患者をよくしたいと考え工夫した結果、このような手技にたどり着いた。術後の頸動脈穿刺部からの出血による窒息や再閉塞など注意すべきポイントが多く有るが、他の方法が無い場合には選択肢の一つとなり得ると考える。外国では止血デバイス(アンジオシール)の報告も散見される