造影MRIで破裂動脈瘤を検出する方法
Wall Enhancement of the Intracranial Aneurysms Revealed by Magnetic Resonance Vessel Wall Imaging Using ThreeDimensional Turbo Spin-Echo Sequence with Motion-Sensitized Driven-Equilibrium: A Sign of Ruptured Aneurysm?. Clin Neuroradiol. 2016 Sep;26(3):277-83. Nagahata S, Nagahata M, Obara M, Kondo R, Minagawa N, Sato S, Sato S, Mouri W, Saito S, Kayama T.
<Abstract>
山形の研究。造影MRIによる脳動脈瘤の壁の増強効果についての評価を行った。61破裂(くも膜下出血;SAH)、83未破裂脳動脈瘤を「強・中・無」で増強効果を評価したところ、破裂「74%・25%・1%」、未破裂「5%・13%・82%」という結果であった。破裂は部位同定に、未破裂は破裂リスク評価に役立つ可能性有り
<Figureの説明>
MCA破裂動脈瘤における増強効果。ちょうど動脈瘤とそのブレブの部分が強く増強されていてここが破裂点だと分かる。
<Introduction>
MRIによる動脈瘤の壁増強効果の報告は少なく、Matoukが破裂の5例で増強され、同時に未破裂では増強されなかったと報告しているのみである。特殊な動きに強いmotion-sensityzed driven equilibrium (MSDE-3D-TSE:本法)法を用いて検討した。
<Methods>
本法は血管内シグナルを造影後でも消せるのが特徴で、壁の増強を未得れる。2011-2013で破裂61個(くも膜下出血SAH)、未破裂83個の瘤で評価。0.1mmol/kgの造影剤(magnescope)を投与し、preとpostで7分で撮影。動脈瘤壁の増強を「強・中・無し」で評価した。
<Results>
検査は発症から平均16時間。Anサイズは破裂2-13、未破裂1-18mm。破裂「74%・25%・1%」、未破裂「5%・13%・82%」の増強効果が得られた。破裂における強・中は感度98%、特異度82%で増強されない1例は発症5日後であった。未破裂の強増強4例はサイズ増加が2例あった。
<川堀の感想>
造影剤による壁増強効果をBlack-blood法の様に血管内部の信号を消すことで描出する新たな方法である。複数の動脈瘤が存在する場合にどちらを先行して治療するのかなどの考え方の際に使用することが出来るなど有用だと考えるが、造影剤の毒性問題とのtrade-offになるので、どの症例に使うべきかについては検討が必要だろう。