メッシュ状ネック形成デバイスCascade
Early experience with a novel net temporary bridging device (Cascade) to assist endovascular coil embolization of intracranial aneurysms.
Tomasello A, et al. Barcelona, Spain
J Neurosurg. 2020 Jan 24:1-9. doi: 10.3171/2019.11.JNS192477. [Epub ahead of print]
<Abstract>
動脈瘤塞栓時にバルーンに変わるメッシュ状ネック形成デバイス(Cascade)の初期経験。バルーンと違いInflate中も血流を遮断すること無くコイルを巻くことが可能。2018-2019でヨーロッパで行った15例を対象(未破裂10、SAH5)とし全ての症例で安全に塞栓が可能であった。
<Figureの説明>
デバイスの外観(メッシュの面積は0.3mm2でコイルより小さいため絡むこと無いとのこと)。左BA-SCAのAnで使用。Cascadeは透視で確認可能(B)。
<Introduction>
ネックの大きい動脈瘤にはバルーンなどによるNeck remodeling法が用いられ良好な成績となるが、バルーン使用中は血流を遮断するため脳梗塞のリスクがある。今回メッシュ状のネックブリッジデバイス(Cascade、Perflow Medical社)を使用し、その初期経験を報告する。
<Methods>
2018/7-2019/5。Cascadeはヨーロッパ認証CE済み、放射線視認性有り、メッシュ径0.3mm2(コイル径より小)、血流を遮断せずネックカバー可能、Rebar18カテで運べるなどの特徴あり。手術はヘパリン化(3000-6000)して、未破裂はSAPTとADAPTが半々で、SAHはSAPTと無しが半々。術後の成績を検討
<Results>
15人(未破裂10人、SA5人)。Anは平均ドームXネック=6.2X3.6mmで前方循環も後方循環もあった。Cascadeは全ての症例で安全に留置出来、計75個のコイルを入れたが引っかかる事無く塞栓が可能であった(平均留置時間30分)。術後に塞栓性合併症も無かった。
<川堀の感想>
バルーンによる遮断より良い点が2つ。1つ目はネック形成中の血流が保持されること、2つ目は視認性が非常に良いこと。バルーンは血液が入ることなどによる視認性低下→過拡張になっていても気付かない危険性などが有り、このデバイスでかなり改善できると思われる。日本では現在承認されていないが、有効なデバイスで有り早急に入ることを願う。