間葉系幹細胞をより強化する方法(スフェロイドと足場材)

Increased Survival and Function of Mesenchymal Stem Cell Spheroids Entrapped in Instructive Alginate Hydrogels.
Ho SS, Murphy KC, Binder BY, Vissers CB, Leach JK.
Stem Cells Transl Med. 2016 Jun;5(6):773-81.

Abstract
間葉系幹細胞の性能を向上させるために①細胞集合体(スフェロイド)&②細胞接着RGDゲルの効果を検証した。ゲル内に入れることでスフェロイドは同じ数の細胞単体より生存率(caspase活性)・栄養因子分泌(VEGF)が向上し、更にこれはただのゲルよりRGDゲルの方が良くなった。細胞はスフェロイド&RGDゲル付きが良い

Figureの説明>

RGD無しのゲルでは細胞は5日目には死亡(左下、赤)しているが、RGD入りゲルでは生きたまま(緑、右下)でむしろ形も球では無くなり足場材に接着して幹細胞として安定している。

細胞が出す栄養因子のトータル量も増えているが、VEGFが特に増えている(左からバラバラRGD無しゲル、スフェロイドRGD無しゲル、バラバラRGDゲル、スフェロイドRGDゲル)

Introduction
間葉系幹細胞を低酸素or血管が少ない部位に投与した場合生存率が落ちて効果が発揮できない。細胞はインテグリンで周辺組織と、カドヘリンで細胞同士と接着し安定化する。細胞の生存率と栄養因子分泌が①スフェロイド(カドヘリンが関与)にすること、②RGDゲル(インテグリンが関与)内に入れること、でどう変わるかを検討した。

 Methods
ヒト間葉系幹細胞(Lonza)を使用。スフェロイドはHanging-drop法で、RGDゲルはαMEM2%RGDで作成。細胞は4X10e7/mlでゲル内に入れた。細胞生存(CalceinAMPICaspase)、栄養因子(VEGF)、血管新生力(血管新生array)で細胞内TotalDNA量と比較。

Results
スフェロイド in RGDゲルは細胞死が減っていて、5日目には足場に接着し安定的な形になっていた。またスフェロイド in RGDゲルは他の条件(バラバラ細胞・RGD無しゲル)に比べて細胞増殖up↑・アポトーシスdown↓・栄養因子分泌up↑と良い結果であった。また血管新生のタンパクも多く分泌していた。

<川堀の感想>
細胞がバラバラの状態よりスフェロイドにして、かつ、安定する足場(RGD)と接着するような状況においてあげると、生存率・栄養因子分泌力が向上することを示した。ある意味当然と言えば当然だと思うが、実験手法は参考になった。我々も現在別の足場材を用いて実験を進めている。良い結果が出ることを期待したい。