動脈瘤の破裂する危険性は日本人のデータで年間0.95-1.4%程度です。つまり100人の動脈瘤の患者さんがいて、1年間に1人破裂する計算になります。ヨーロッパの研究では7mm以下の動脈瘤の1年間に破裂する危険性はほぼ0%というのがありますが、日本人では3-4mmで年間0.4%、5-6mmで年間0.5%と全くないわけではありません。ちなみに動脈瘤は大きければ大きいほど破裂する危険性が高まります(25mm以上は33%)。一旦破れるとくも膜下出血になるため35-50%の方が亡くなります。手術治療自体にリスク(脳損傷など)がありますので、“やった方がいい”“まだ様子を見れる”など同じ動脈瘤でも医師の間でも意見が分かれます。
そのため一定のルールが、日本脳卒中ガイドライン2015に載っています。
下記の動脈瘤は破裂高危険群であり、治療を検討することが勧められる
①大きさ5mm以上のもの
②5mm以下でも場所が前交通動脈(Acom;エーコム)、内頸動脈–後交通動脈(Pcom;ピーコム)にあるもの
③動脈瘤の一部が更にふくれあがる(ブレブ)、形が不整なもの
ただし、実際はこれだけで判断できるわけではなく、患者さん個々人の状況も総合的に判断しています。(個人的には2mmで破裂した20歳の治療を行ったこともあります)