症状
狭窄が進行すると脳梗塞の原因となります。脳梗塞を発症した場合は突然、脳の機能が傷害されるため手足の麻痺やしゃべりづらさ、しびれなどが出現します。朝起きたら症状が出ていたなどという場合もあります。痛みは無いことが多いです。健康診断(超音波検査)や頭痛精査(MRA)などで偶然見つかる事もあります。その際には症状がないことがほとんどです(知らず知らずのうちに脳梗塞を起こしていることもあります)。
検査方法
脳梗塞の検査方法と同じです。
脳検査
1.脳MRI検査
強力な磁石を使って脳の輪切りの画像を得ます。横になっているだけで診断が可能です。ただし体に金属が入っている人(ペースメーカーなど)は受けられないことがあります。脳ドックなどで使用することが多いです。無症候性(症状の出なかった)脳梗塞があるかないかを判断することが出来ます。合わせて血管の撮影(MRA)も造影剤なしで出来ます。
2.頭部CT検査
レントゲンを使用して脳の輪切りの画像を得るため、金属が入っている人でも撮影できます。MRIに比較し短時間で検査を行うことが出来ますが、脳梗塞になったばかりの時は画像で写らないことが多いです。血管の詳しい情報を得るには造影剤を使う必要があります。
血管検査
1.MRA(MRアンジオ)検査
MRIと同じ装置で一度に取ることが出来ます。頸動脈の狭窄や潰瘍(プラーク(ゴミ)による血管表面の傷み)を見ることが出来ます。この画像では→頸動脈(画面の左側)で総頸動脈が内頚と外頚に分かれてすぐの場所で内頸動脈がほとんど写らなくなっているのが分かります。
2.CTA(CTアンジオ)検査
造影剤を注射しながらCTの機械で撮影します。金属が入っている人でも撮影することが出来ますが、腎臓の悪い人(造影剤による更なる悪影響の可能性)や造影剤アレルギー(かゆくなる・呼吸が苦しくなるなど)の人には使えないこともあります。造影剤が体に入ったときに体中が熱くなる感覚があります。MRAよりも詳しい血管の情報や周囲の組織(骨)などの情報も得られることが出来ます。3.脳血管(アンジオ)よりも簡便であることから血管を詳しく調べるときの第一選択になることが多いです。画像は上と同じ患者さんですが、狭くなっている場所がはっきり分かります(赤矢印)
3.脳血管(アンジオ)検査
CTAやMRAで異常が疑われる場合に最終診断として行われる検査です。足の付けね(大腿動脈)や肘の内側(上腕動脈)や手首(腕頭動脈)の動脈からカテーテル呼ばれる細い管を入れて造影剤を流しながらレントゲン撮影を行うことで血管を映し出します。最近では3次元撮影も出来るようになりCTAやMRAでは得られない精密な検査が行えます。しかし脳に近い血管の中に異物であるカテーテルを挿入するので血管を傷つけたり、詰まらせたりする危険性があります。画像同じ患者さんの画像です(実際は動画で見ることで血流も評価します)。
治療方法
どのくらい狭くなってきているかで治療法が変わります。患者さんの状態によって変わりますが、一般的には狭い部分が60%以下(つまり血液が通過出来る部分は40%のみ)は飲み薬治療、60%以上は外科治療が検討されることが多いです。
内科治療
狭いところを通過する際に血小板が固まってしまうことがあるので、それを予想する抗血小板薬(バイアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール)などを内服することが多いです。また生活習慣病でもあるので、高血圧薬やコレステロールを下げる薬なども処方されるかたが多いです。
外科治療
切って直す内頸動脈内膜剥離術と風船で広げてステントという金属を入れる血管内ステント留置術があります。どちらも一長一短があります。
内頸動脈内膜剥離術
細くなった頚動脈を直接手術で切開し、動脈硬化で厚くなった壁を取り除く手術です。
メリット:血管の内側に付いているゴミ(プラーク)をほとんど全て取り除くことが可能です。
デメリット:のどの神経が近くを通るため、術後に嗄声(声がかれる)、嚥下障害(飲み込みにくさ)が出現することがあります。多くは一時的なものですが、影響に残る場合もあります。
頸動脈ステント留置術
血管の中から直す方法です。狭くなった部分を風船で広げて金属のメッシュ状の筒(ステント)をおいて来ます。
メリット:皮膚を直接切らないので嚥下障害などの危険性がない。
デメリット:風船を広げた際にゴミ(プラーク )の一部がはがれて脳に流れていき脳梗塞を起こす危険性がある。長期間血液をサラサラにする薬を服用しなければ成らない(その後に別の病気が見つかっても手術治療を延期しなければならないこともあります)